【為替本日の注目点】米長期金利急低下

為替

サーチナ

2022/9/29 10:15

 ドル円は144円台後半から反落。米長期金利が急低下したことからドル売りが優勢となり143円91銭まで下落。145円目前で足踏み状態に。ユーロドルでもドルが売られユーロは急上昇。ユーロは0.9751まで買われ、約200ポイントの反発。株式市場は大幅に反発。連日下げが続いていたことや、米長期金利が急低下したことから3指数が揃って大幅高に。債券は急反発。長期金利は3.71%台に低下。金と原油も大幅に続伸。

マーケット情報

8月中古住宅販売成約件数 → -2.0%

ドル/円 143.91 ~ 144.75

ユーロ/ドル 0.9560 ~ 0.9751

ユーロ/円 138.32 ~ 140.40

NYダウ +548.75 → 29,683.74ドル

GOLD +33.80 → 1,670.00ドル

WTI +3.65 → 82.15ドル

米10年国債 -0.214 → 3.731%

本日の注目イベント

豪 豪消費者物価指数(7、8月)

独 独9月消費者物価指数

欧 ユーロ圏9月景況感指数

欧 ユーロ圏9月消費者信頼感指数(確定値)

英 英8月消費者信用残高

米 新規失業保険申請件数

米 4-6月GDP(確定値)

米 メスター・クリーブランド連銀総裁ら、パネル討論に参加

米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演

 ドル円は145円を目前にして反落しています。やはり、介入に対する警戒感の影響でしょうか。前日のNYでは144円90銭まで買われ、昨日の朝方にも144円87銭近辺まで買われ、さらに夕方にも144円80銭を超える水水準までドル高が進みながらも、あと10銭~15銭が遠かったようで、145円台には届いていません。イングランド銀行は債券市場の崩壊を防ぐため、劇的な形で介入に入りました。英国の長期国債を無制限で購入すると表明し、「目的は秩序だった市場環境を回復することだ。目的達成に必要なだけの規模を購入する」との声明を発表しています。イングランド銀行の介入で英長期金利は急低下し、この影響からNYでも債券と株が買われ、前日までの動きを巻き戻すような展開になりました。0.95台半ばまで売られたユーロドルは0.97台半ばまで、およそ200ポイント反発し、金と原油も大きく値を戻しています。

 米国のインフレ高進に伴う連続利上げで、ほぼ全ての市場が想定外の動きを見せていますが、昨日はやや落ち着きを取り戻したようです。しかしまだまだ市場の混乱は続くとみられます。資産家のドラッケンミラー氏は昨日NYで開かれたCNBC主催の会議で、「来年にリセッションが起きなかったら驚きだ」と発言し、「2023年のリセッションを予想しており、その後10年にわたって市場は低迷する可能性があるとみている」と述べています。昨日もFOMCメンバーによるタカ派発言がありましたが、ほぼ影響はなかったようです。昨日のこの欄でも述べたように、市場のこの種の発言に対する感応度も徐々に薄れてきたとみられます。シカゴ連銀のエバンス総裁は、「世界の金融市場でボラティリティーが高まっているものの、FRBはインフレ抑制のため利上げを推し進める必要がある」と述べ、現在のFF金利の誘導目標レンジである3-3.25%について、「これは景気抑制的な領域に入り始めたところだが、現在のインフレの高さやインフレ抑制が責務であることを考慮すれば到底十分ではない」と指摘しています。アトランタ連銀のポスティック総裁はさらにタカ派的な発言を行いました。同総裁は年末までに政策金利を合計でさらに1.25ポイント引き上げることを支持すると表明し、「これまで進展が見られないことから、緩やかに抑制的な政策スタンスにする必要があると一層強く考えている」とし、「私としては、それは政策金利が4.25-4.5%のレンジにあることを意味する。年末までにその水準に達することが望ましい」と、電話会見で記者団に述べています。(ブルームバーグ)9月のFOMCで公表されたドットプロットで、メンバーが予想する年末の金利水準が平均で4.4%だったことに驚きましたが、ポスティック総裁の発言はこれを裏付けた形になっています。仮にこの予想通りだとすれば、11月会合で再び0.75ポイントの利上げを行い、さらに12月会合でも0.5ポイントの利上げを行うというシナリオが描けます。1年間で合計4.5%もの大幅利上げを行った記憶は、少なくとも筆者にはありません。

 米国ではハリケーン「イアン」がフロリダ州南西部に上陸し、同州ではほぼ全域で停電や洪水が警戒されています。既に80万世帯・企業が電力を失っていると報告されています。ハリケーン「イアン」は5段階で上から2番目に強い「カテゴリー4」とされ、風速は最大で時速155マイル(秒速69メートル)と、5段階で最も強い「カテゴリー5」にあと2マイルまで迫っているとのことです。皮肉な見方をすれば、これも景気抑制的となり、高インフレに苦しむFRBにとって「干天に慈雨」といったところでしょうが、映像を見る限りかなり危険度が高い様子です。

 本日のドル円は143円50銭~145円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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