市場介入警戒モードのFX市場はどう動く? 外為オンライン・佐藤正和氏

為替

サーチナ

2022/9/29 17:33

 9月22日、政府と日本銀行が実施したドルを売って円を買う「市場介入」は、FXの投資家には予想されていたとはいえ、大きな驚きと衝撃をもたらした。その市場規模は、3兆6000億円と報道されているが、1ドル=145円90銭から140円台にまで円高に振れる結果となり、その効果の大きさが改めて認識されている。そんな状況の中で、相変わらず米国中央銀行「FRB(米連邦準備制度理事会)」の大半の理事がタカ派の姿勢をコメントするなど、アメリカの長期金利は今後も上昇する勢いが止まらない。そんな状況の中で10月の為替市場はどんなマーケットになるのか…。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さんに10月相場の見通しを伺った。

今回の政府による市場介入の効果はあったのでしょうか?

 9月22日に行われた市場介入は、円高に対応するために実施された2011年11月以来、約11年ぶりの市場介入となりましたが、ドルを売って円を買う円安対応の市場介入となると、実に24年3か月ぶりの介入になります。市場介入は、対費用効果という面では効果が薄く、行われないだろうという市場関係者の大方の予想に反して、日本政府は単独で踏み切ることになりました。

 当日は、黒田日銀総裁が金融政策決定会合後の記者会見で、これまでのスタンスを変化させない姿勢を改めて表明。同時進行の形でずるずると145円90銭まで円安が進み、財務省も市場介入に踏み切るしかなかった、というところでしょうか。

 市場介入の効果は、鈴木財務大臣がコメントしたように、ある一定の効果はあったと思います。5円程度円高が進み、その後も市場介入があるのではないかという不安心理から、円安に対して一定の歯止めがかかっているのは確かだと思います。ただ、すでに144円台にまで回復しており先行きは見通せない状況です。

今後も、政府は市場介入して来るのでしょうか?

 いちどやってしまった以上、ここで止めてしまうというわけにはいかないと思います。ただ、現時点では米国が協調介入する可能性は極めて低く、1ドル=145円を超えて円安が進んでいくと、単独介入とはいえ、政府・日銀はまた市場介入に踏み切ると思われます。

 とはいえ、為替市場の市場介入は繰り返せば繰り返すほど、その効果は低くなっていきます。私自身、現役時代に何度も経験していますが、FRBのインフレ対応=金利引上げがピークアウトしていかなければ、いずれ市場介入は効果の薄いものになってしまうと考えられます。

 問題はその金利引上げですが、10月はFOMC(米連邦公開市場委員会)会合がないものの、11月に入ってすぐの1日~2日に実施されます。今のところ「0.5%」の金利引上げが予想されていますが、今後発表される景気指標によっては、0.25%もしくは0.75%になる可能性もあります。

インフレはなかなか収まる気配がありませんが……?

 10月7日に発表される米雇用統計がひとつの目安になると思いますが、9月の非農業部門雇用者数は市場予想では25万人増となっています。前回の8月は31万5000人増でした。失業率も前回の8月は3.7%とわずかに悪化。9月も同じく3.7%と予想されています。

 さらに10月13日に発表される9月の「CPI(消費者物価指数)」も重要な指標になりますが、市場予想では総合指数で前月比0.2%の上昇、コア指数で同0.4%の上昇となっています。ここにきてFRBの急激な金利引上げによって、原油価格が瞬間的に1バーレル=73ドル前後まで下落するなど、その効果が徐々に現れつつあります。NY市場を始め世界の株式市場も大きく下落し、金などの資源価格も値を下げています。

 インフレはいずれピークアウトするのではないかと考えられますが、それまでにFRBがどの程度金利を引き上げるかが問題になります。アトランタ連銀のボスティック総裁が「年末までに政策金利を合計でさらに1.25ポイント引き上げることを支持する」と表明するなど、タカ派的な発言が目立っています。この傾向はしばらく続くものと思われ、当面はドルの独歩高と言って良いでしょう。

英国ポンドが大きく揺れていますが……?

 これまでは円の独歩安だったのが、ここにきて英国ポンドやユーロまでもが大きく売られています。とりわけ、英国ポンドは9月27日には、1ドル=1.0360英国ポンド前後までポンド安が進み、この水準は1973年の変動相場制に移行して以来の最安値を記録しました。さらに、28日には債券市場の崩壊を防ぐために、イングランド銀行が劇的な形で市場介入に入り、英国の長期国債を無制限で購入すると表明しました。

 この背景には、英国の新しい首相となったトラス新首相による追加減税が想定以上に大きかったためですが、追加減税がインフレを加速させるのではないかと言う懸念が拡大し、ポンドが売られました。長期国債の金利上昇が止まらず、イングランド銀行の介入もまた想定外のものだったようです。

 一方で9月25日のイタリア総選挙で、野党の「イタリアの同胞」が第1党に躍進。EUのロシアに対する制裁が揺らぐのではないか、といった懸念が拡大したためユーロ安が進みました。10月27日に実施される「ECB(欧州中央銀行)理事会」には要注目です。

10月の予想レンジを教えてください。

 政府が為替市場に対して市場介入を行ったことで、一本調子の円安は考えにくくなったかもしれませんが、ヘッジファンドなど1部の投資家は、その市場介入を逆手にとって政府の思惑を超える円安を仕掛けてくる可能性が十分にあります。そういう意味では10月の相場もまた大荒れになりそうです。10月の予想レンジはいつもより幅広く考えた方がいいかもしれません。

●ドル円…1ドル=138円-148円

●ユーロ円…1ユーロ=135円-145円

●ユーロドル…1ユーロ=0.94ドル-1.01ドル

●英国ポンド円…1ポンド=150円-160円

●豪ドル円…1豪ドル=90円-96円

10月の為替相場で注意すべきことは?

 いつどのタイミングで市場介入が実施されるのかが重要なポイントになります。145円を超えたあたりがひとつの目安になると考えられますが、円高時の市場介入と違って、1回あたり3兆円を超える外貨準備=ドルを売却して、円を買い戻すにはやはり限界があります。単独介入を余儀なくされることも影響して、政府も慎重に市場介入のタイミングを計ってくると思います。

 こういうときのトレードでは、できる限り「指値」「逆指値」などの機能を使って、資産を大きなボラティリティから守る工夫が必要です。さらにその時に指定するレートは、できれば「想定外」の数値がいいと思います。それだけボラティリティも大きく、投資家も想定外の水準を目指してくると考えられます。

 いずれにしても、瞬間的に1ドル4円~5円動くようなボラティリティの大きな市場では、利益を出せるチャンスは大きい反面、損失も大きくなります。できる限りリスクを抑えて、ロスカットにならないようなトレードを心がけましょう。

(文責:モーニングスター編集部)

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