【為替本日の注目点】NY株再び大幅な下げに

為替

サーチナ

2022/9/30 10:13

145円前後が重いものの、ドル円は堅調に推移。米金利の上昇に144円78銭まで買われたが145円テストには至らず。ユーロドルは反発。ドイツのCPIが2桁に上昇し、ECBの政策メンバーが0.75ポイントの利上げを示唆したことで0.9815前後までユーロが上昇。株式市場は大幅に反落。長期金利が上昇に転じたことやアップルの投資判断が引き下げられたことでダウは458ドル安。ナスダックは2.8%の下落。アップルは4.9%売られ、下げをけん引。債券は反落。長期金利は3.78%台に上昇。金と原油も反落。

マーケット情報

新規失業保険申請件数 → 19.3万人

4-6月GDP(確定値) → -0.6%

ドル/円 144.26 ~ 144.78

ユーロ/ドル 0.9683 ~ 0.9815

ユーロ/円 140.14 ~ 141.92

NYダウ -458.13 → 29,225.61ドル

GOLD -1.40 → 1,668.60ドル

WTI -0.92 → 81.23ドル

米10年国債 +0.054 → 3.786%

本日の注目イベント

日 8月失業率

日 8月鉱工業生産

中 9月中国製造業PMI

中 9月中国サービス業PMI

中 9月財新製造業PMI

独 9月雇用統計

欧 ユーロ圏9月消費者物価指数(速報値)

欧 ユーロ圏8月失業率

英 4-6月期GDP

米 8月個人所得

米 8月個人支出

米 8月PCEデフレータ(前月比)

米 8月PCEデフレータ(前年比)

米 8月PCEコアデフレータ(前月比)

米 8月PCEコアデフレータ(前年比)

米 9月シカゴ購買部協会景気指数

米 9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)

米 ブレイナード・副議長、会議冒頭の挨拶

米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、会議開会の挨拶

米 ボウマン・FRB理事講演

米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演

 ドル円は昨日も144円80銭手前まで買われましたが、145円には届いていません。米長期金利が上昇に転じドルが買われましたが、ユーロドルではユーロ高ドル安が進んだ影響もあり、ドル円の上昇が抑えられた側面もありました。ユーロドルは0.96台半ばから0.98台前半まで買われています。ECB政策メンバーであるリトアニア中銀のシスカム総裁が、ブルームバーグテレビジョンの番組で、「100ベーシスポイントの利上げは現時点では確かに行き過ぎだろうが、50bpは最低ラインだ」と発言。「75bpが私の選択になるだろう。ユーロ圏の9月のインフレ率がさらに高くなっても驚きではないだろう」と語ったことがユーロを押し上げました。この日発表されたドイツの9月の消費者物価指数(CPI)は前月からさらに上昇し「10.9%」でした。通貨ユーロを導入して以来初の2桁台のインフレ率でした。米金利も上昇し、ユーロ圏でも大幅利上げが示唆されたことで、この日はユーロが最強で、円が最弱通貨となり、金利水準が相場の行方を決める構図は変わっていません。

 昨日は米経済指標の好調さも米金利の押し上げ要因でした。失業保険申請件数は5月の中旬以来となる20万件を下回り、先週分も下方修正されています。また、米商務省経済分析局が公表したGDPの年次改定でも、昨年末時点の実質GDPは従来発表値から1%、額にして約2000億ドル(約29兆円)の上方修正でした。「米経済の新型コロナウイルス禍からの持ち直しは、これまで考えられていた以上に堅調だった」とブルームバーグは論じています。「経済指標の好材料は、金融市場への悪材料」となる傾向も続いています。

 昨日もFOMCメンバーの発言は総じてタカ派的でしたが、目立った市場へのインパクトはありませんでした。SFシスコ連銀のデーリー総裁は、FRBは物価の安定を取り戻すまで利上げを行うことにコミットしていると述べ、クリーブランド連銀のメスター総裁も、高インフレを抑制するための利上げを継続する必要があるとの見解を示しています。また、セントルイス連銀のブラード総裁は、FOMCでのドットプロットで年末までにFF金利が4.4%に達するという見通しが示されたことに関して、「その見通しは市場で消化されており、正しい解釈がなされているようだ」と述べています。ブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもあるサマーズ元財務長官は、日本の政策に内在する緊張に注目していると述べています。日本は先週円買い介入を行って市場から資金を吸い上げた一方、日銀による金融緩和政策を通じて流動性を供給している動きを「異例の事態だ」と表現し、「それが今後どう展開するか興味深い」と述べ、「日本の投資家が世界中の債券を『大量に保有している』点に留意が必要だ」との見方を示しました。

 先週22日(木)に政府日銀が市場介入を実施してから1週間が経過しました。翌23日からのドル円の動きは概ね142-145円に収まっていますが、ここ3日は144-145円で、1日の値幅もほぼ1円以内に収斂してきました。過去最大規模となる約3兆6000億円程度と言われる介入で5円を上回るドルの押し下げには成功しましたが、その後ジリジリと値を戻し再び145円に迫る動きになっています。それでも145円台に乗せないのは、「介入警戒感がある」ことは間違いない所ですが、同時に「介入がそれほど効果がない」ことを、多くの投資家が理解していることも事実かと思います。昨日も述べましたが、「誰が猫に鈴をつけるのか」状態であると思われます。上述のように、多くのFOMCメンバーはタカ派寄りで足並みは揃っており、現時点では11月会合では0.5~0.75ポイントの利上げが有力とみています。0.75ポイントの可能性がより高まるようだと145円台を回復すると予想していますが、これも今後のデータ次第です。来週の雇用統計などが注目されますが、先ずは、今夜の個人消費支出(PCE)データが大注目です。

 本日のレンジは143円50銭~145円50銭程度でしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ