海外株式見通し=米国、香港
【米国株】「逆業績相場」、NYダウ構成銘柄の値上がり率上位は?

FOMC(米連邦公開市場委員会)声明発表とパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長記者会見、および米国議会中間選挙の投開票を目前に控え、相場が戻り基調を強めている。その中でも米国を代表する30銘柄の平均株価を指数化した「ダウ工業株30種平均株価」(NYダウ)が堅調だ。
前週末時点のNYダウ構成銘柄の年初来騰落率を見ると、プラスとなっているのは10銘柄。上から順に以下の通りだ。
(1)シェブロン(プラス53.4%)――石油とガスの世界的需要の高まりと米国油田からの生産量増加が利益を押し上げた
(2)メルク(プラス31.5%)――主力のがん治療薬をはじめ新型コロナウイルス経口治療薬が好調
(3)アムジェン(プラス21.7%)――リウマチや骨粗しょう症、乾癬(かんせん)治療薬が好調
(4)トラベラーズ(プラス16.3%)――損害保険料収入が堅調に伸びている
(5)ユナイテッドヘルス・グループ(プラス9.8%)――8月成立のインフレ抑制法(歳出歳入法)で、公的医療保険の運営者として処方薬の薬価引き下げの交渉当事者となりそう
(6)キャタピラー(プラス6.1%)――世界的に旺盛な建機需要、低い在庫水準、価格引上げが利益を押し上げた
(7)IBM(プラス3.6%)――企業の基幹業務で使うメーンフレームの売上が業績をけん引する
(8)コカコーラ(プラス2.6%)――7~9月に平均で12%の値上げを実現した
(9)マクドナルド(プラス2.4%)――値上げの奏功に加え、増配が好感された
(10)ジョンソン・エンド・ジョンソン(プラス2.2%)――主力の抗がん剤拡大を受けた医薬品事業の堅調な推移とともに、スピンオフなど事業再編の方針を示す
インフレ抑制のための金融引き締め後に景気の減速・後退局面に移行する「逆業績相場」では、収益が景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄が相対的にパフォーマンス優位になりやすいことと符合しており、当面は同様の物色傾向が続く可能性がある。
【香港株】「ダブル引き締め」逆風も、高配当利回り投資の好機
10月23日まで開催されていた5年に1度の中国共産党大会の新人事を受け、翌24日の香港株式市場でハンセン指数が急落した。約13年ぶりの安値を更新し、下落率で見るとリーマン・ショック時の2008年10月以来の水準に達した。ハンセン指数は、昨年2月に3万1183ポイントを付けてから下落傾向で推移している。
これは、同年1月から実施の「三道紅線(3本のレッドライン)」の方針により、銀行が住宅ローンと不動産業界向け融資を抑制したことに端を発する。また、人民元のうち中国本土外の居住者が取引する国外市場で取引される「オフショア人民元」の対ドル相場は、上海市で今年3月下旬以降に1カ月半に及ぶ都市封鎖が実施され、その後もかたくなに「ゼロコロナ」政策を堅持したことを受けて下げが加速した。中国の現状は不動産融資抑制とゼロコロナ政策の「ダブル引き締め」が続いていると言える。
ハンセン指数の下落を受けて指数構成銘柄の市場予想配当利回りも軒並み上昇し、1日時点で採用73銘柄中で9銘柄が10%超に達している。その中には、不動産開発業者の債務問題や未完成物件に係る住宅ローン返済拒否など逆風が強まっていることから株価下落傾向の不動産企業もある。将来の減配リスクが高まるとみられる場合には、配当利回り目的で投資をすることは適切ではない。
その一方で、石油や石炭などのエネルギー関連国営企業で、米国からの制裁の影響を受けにくい内需を主体とした好業績銘柄も、予想配当利回りが10%を超えてきている。それらは年初来騰落率でも堅実なパフォーマンスを示しており、利回り狙いの投資では日米の株式市場を上回る魅力を見いだせそうだ。
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(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
(写真:123RF)
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