テックポイントは車載カメラ向けなどの半導体を開発、潜在需要大きく中・長期的成長期待大

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2022/11/17 9:00

 テックポイント・インク(テックP)<6697.T>は車載カメラ、監視カメラなどを対象とした半導体開発のファブレス(工場を持たない)メーカー。高解像度、高ノイズ耐性、低コストの半導体に定評があり、国内をはじめ中国、韓国、台湾の監視カメラ・車載カメラメーカー向けに半導体部品の供給を行っている。新製品開発を推進し、CMOSイメージセンサー、ドアフォン用半導体製品は22年12月期中にサンプル出荷を開始した。

 カメラユニットから離れた表示ユニットに画像を伝送する方式にはアナログ方式とデジタル(IP)方式があり、同社はアナログ伝送の半導体の開発を行っている。同社のアナログ伝送技術「HD-TVI」は映像の符号化や復号などのデータ圧縮処理が不要で、伝送遅延が生じず、リアルタイム性を求められる用途に強みがある。世界で自動車は年間1億台、監視カメラはアナログカメラとIPカメラを合わせて年間2億台が生産されており、車載カメラ、監視カメラとも潜在的な需要は大きい。

 特に車載カメラについては、IPカメラには遅延が発生するため、データ圧縮処理を必要としない伝送技術が採用されやすい傾向がある。現在、自動車1台につき車載カメラは1-2台が搭載されている。しかし、あおり運転や交通事故への対策のため搭載台数は増加しており、将来的には左右、前後と、車内を合わせて最大7台が搭載される見通しにある。同社にとっては、今後ますますビジネスチャンスが拡大する局面だ。

 一方、新型コロナ感染拡大の影響で、20年には世界的に半導体工場が一時閉鎖された。その後、スマートフォンやパソコン、データセンター向け需要が急速に増加しほか、自動車の電装化の進展もあって、21年には半導体不足が深刻になった。現在では、一部の品不足は継続しているものの、パソコン、スマートフォンなどの需要減に伴い生産委託先の余裕も生まれ、23年以降には通常化するとの見方もある。

 同社の22年12月期は第3四半期累計(1-9月)決算が連結売上高4858万ドル(前年同期比2.9%増)、営業利益1409万ドル(同3.5%減)となった。半導体生産のひっ迫に加えて、中国におけるロックダウン(都市封鎖)の影響を受けた。人員増、過去最大件数のテープアウト(試作)計画のため、研究開発費も増加している。通期業績予想は期初予想を据え置き、売上高7146万ドル(前期比10.5%増)、営業利益1988万ドル(同0.0%減)を見込む。

 今期業績は前半は半導体不足・都市封鎖の影響を受け、後半は都市封鎖などによる経済の停滞からの在庫調整の影響を受けている。しかし、事業環境は回復しつつあるとみられ、同社の小里文宏社長は来期について「それほど悲観的ではない」という。来期の後半には事業環境の回復が明らかになり、改めて成長基調を示すことになりそうだ。

 また、同社は新製品の開発を積極的に進めており、CMOSイメージセンサー、ドアフォン用半導体製品については今期にサンプル出荷を開始している。早ければ来期にも量産に移行し、業績への貢献も大きくなっていくことになろう。

 CMOSイメージセンサーはカメラのレンズがとらえた光の画像を電気信号に変換する機能を持つ半導体。現在は生産体制の整備を進めており、確保できる生産数量の見極めと連動し商談を本格化していく計画だ。

 ドアフォン用の半導体製品は、マンションの集合玄関と各戸をつなぐドアフォン向けに開発を進めている。監視カメラで利用する技術の拡大用途であり、旧来からの同軸ケーブルが使用可能だ。そのため、交換需要であれば建物の配線交換が不要になるため、低コストの交換が可能というメリットがある。

提供:モーニングスター社

(写真:123RF)

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