海外株式見通し=米国、香港
【米国株】VIX指数推移から戻りメド占う

米国株市場はグロース(成長)株を中心に上昇の戻りの度合いを試す局面と見受けられる。10日発表の10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.7%上昇(9月:8.2%上昇)と市場予想を下回り、2日のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明の「利上げ幅が小幅になる可能性」を裏付ける数値となった。
今後は1年前の物価水準自体が高まることから、「ベース効果」により月ごとに前年同月比が縮小することが想定される。これを受けて、長期金利低下、米ドル下落、金価格上昇と多くのアセットの相場が反転した。半導体関連やハイテク株、IT関連などナスダック構成銘柄で今まで相対的に大きく売られていた銘柄ほど戻り上昇率が大きくなりやすい面もあるだろう。
戻り局面のバロメーターとして有効なのはVIX指数(恐怖指数)だ。年初以降S&P500指数が上昇から反転下落した日に着目すると、VIX指数が20ポイントを下回ると株価指数の上昇圧力が減衰し、売り圧力に押される傾向がみられる。VIX指数終値は、1月3日の16.60、3月29日の18.90、8月12日の19.53の水準で低下から反転上昇している。
当面はVIX指数20ポイント割れが戻り上昇一服に向けてのカギを握ろう。また、S&P500指数は年初来高値の4818ポイントから年初来安値の3491ポイントまでの下落幅に対する半値戻し水準の4155ポイント近辺での推移も要注視だろう。さらに、24日からの感謝祭のお祭りムードとその後の「祭りのあと」が心理的に戻り高値を形成しやすい面も無視できないだろう。
11月14日は「世界糖尿病デー」である中、8月成立の「インフレ抑制法」の中で、65歳以上のメディケア受給者について薬局で購入する処方薬に支払う金額が年間2000ドルに上限設定されたほか、糖尿病を治療する高齢者330万人がインスリンに支払う金額が1カ月当たり35ドルに制限された。患者に負担が少ないインスリンポンプの技術も進化しつつあり、デスクコム(DXCM)やタンデム・ダイアベティス・ケア(TNDM)が注目される。"
【香港株】国営通信大手と主要IT企業の「国企混改」で株価に変化
今年6月に全国人民代表大会(全人代)常務委員会が独占禁止法改正案を可決し、8月から施行された。その内容は「プラットフォーマーの独占行為」に法の網を掛けるもので、ライバルとの取引を事実上禁じるルールなど乱用による競争制限の禁止を明記した。
今年7月には、過去のM&A(企業の合併・買収)などの際に当局への申請がなかったことが独禁法違反に当たるとして、ネット大手のテンセントやアリババ集団などに罰金が科された。8月以降M&A届け出義務違反に対する罰金が大幅に引き上げられた。中国のITプラットフォーム事業は本格的な冬の時代に入ったかのような様相を呈している。
そのような中、今月1日に大手EC(=Eコマース、電子商取引)サイトのJDドットコムと国営携帯最大手チャイナ・モバイルが「戦略合作協議(提携契約)」を締結。さらに翌2日、アリババと国営固定電話最大手チャイナ・テレコムも戦略合作協議を締結したほか、テンセントと国営通信大手チャイナ・ユニコムが設立する混合所有制の新会社が承認された。
これらの合弁は「国企混改」と呼ばれ、国営企業の市場競争参加を促進することが目的とされている。一方で、10月に実施された中国共産党大会で中央政治局常務委から経済派が排除されたこともあり、「国家資本主義」強化の姿勢と受け止める見方もある。上述の国営主要大手通信3社、および主要大手ITプラットフォーム3社の株価推移をみると、11月以降、国営主要大手通信3社の株価が上昇基調である中で、主要ITプラットフォーム3社の株価はそれ以上に急上昇している。米国の金利見通し変化に基づくグロース株の戻りだけではない上昇要因を見いだす余地もありそうだ。
※右の画像クリックでグラフ拡大
(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
関連記事
-
テックポイントは車載カメラ向けなどの半導体を開発、潜在需要大きく中・長期的成長期待大
テックポイント・インク(テックP)は車載カメラ、監視カメラなどを対象とした半導体開発のファブレス(工場を持たない)メーカー。高解像度、高ノイズ耐性、低コストの半導体に定評があり、国内・・・…続き
-
【株式新聞・正午版】レイ、イベントなどの受注堅調――足元好調で通期の好業績期待大
2022/11/17 12:00
レイ(4317)は年初来高値473円(10月21日)を付けた後に一服したが、下値の堅い展開が続いている。今後、改めて上値を狙う展開から、高値奪回と、さらなる上昇も見込めよう。 同社はイベント、展示会・・・…続き
-
モーニングセット(17日)―NY株概況、主なスケジュールなど
2022/11/17 8:30
3万3553.83ドル ▼39.09ドル 16日の米国株式は、反落した。米ディスカウント大手ターゲットが2022年11月~23年1月の業績予想を下方修正。年末商戦を控え、消費への影響が警戒され、軟調に・・・…続き
-
<飛翔期待のお宝株>営業益が高成長継続、再増額修正の温存で生じた押し目は買い好機――UFHD
2022/11/17 8:30
業績は絶好調でも、計画を増額した銘柄とそうしなかった銘柄で明暗が分かれるケースが目立つ。例えばKPPグループホールディングス(9274)やイーディーピー(=EDP、7794)は上方修正を受けて株価が・・・…続き
速報ニュース
-
7分前
-
日経平均は60円安、構成銘柄ではりそなHD、DOWA、テルモなどが値下がり率上位
9分前
-
北海道電力が反発、23年3月期の業績予想を修正、赤字幅は縮小見通しに
16分前
-
米2月新築住宅販売件数、前月比1.1%増の64万件―市場予想下回る
20分前
-
(再送)日経平均は136円安、マイナス寄与度上位はファストリテ、テルモ、ファナックなど
38分前
-
39分前
-
<米国株情報>ウォルマート、米国内5カ所のフルフィルメントセンターでレイオフ
45分前
-
45分前
-
英中銀、政策金利を0.25ポイント引き上げ―2委員が据え置きを主張
46分前
-
西武HDが3日続伸、23年3月期純利益予想の引き下げも期末配当予想の増額を好感
46分前