テンポイノベーション・原康雄社長に聞く:強固なストック型ビジネスで着実に成長
2022/11/29 9:00
テンポイノベーション(3484)は東京を中心に首都圏の飲食店向け居抜き物件に特化し、不動産オーナーから賃借した物件を店舗出店者に転貸する店舗転貸借事業を手掛けている。強固なストック型のビジネスモデルを確立していることから、コロナ禍やウクライナ情勢の緊迫化など、外部環境の変化があっても影響は限定的で、今3月期に11期連続の増収増益を達成し、その後も着実な成長が続く公算は大きい。同社の現状と今後について原康雄社長=写真=に聞いた。
人材拡充を推進し11期連続の増収増益へ
――今3月期の上期決算は連結売上高61億300万円(前年同期比7.7%増)、営業利益5億5400万円(同25.6%増)と好調でした。
「成約数(転貸借契約を締結した数)は上期で224件と、前年同期の191件から20%近く増加しました。第2四半期(7~9月)単独では117件で、四半期ベースでは過去最高を更新しています。転貸借物件数も2080件(前年同期比268件増)と順調に増えました。2080件と聞いてもイメージがしにくいかもしれませんが、大手飲食チェーンでいうと、すき家さんやスターバックスさんの国内店舗数より多い物件数となります。経済環境は課題を抱えた状態ですが、首都圏における好立地・小規模・居抜き物件への出店需要は常に大きいため、当社のビジネスモデルを着実に推進することで継続的な成長は可能と考えています。通期業績予想は売上高126億5500万円(前期比10.9%増)、営業利益10億5900万円(同16.4%増)、経常利益10億7400万円(同8.9%増)、純利益7億3300万円(10.7%増)と、11期連続の増収増益を目指しています」
――御社のビジネスモデルの強みは何ですか。
「主に小規模飲食店向けの店舗を対象としているため出店ニーズが安定的に高く、大手チェーン向けの店舗とは違って、出店方針の変更などにより多数店舗が一斉に退店するといったことがありません。また、賃借権で保護された転貸借物件の数を着実に積み上げていくことで成長する、いわばサブスクリプション(継続課金)型のビジネスとなっており、それが安定的な業績成長につながっています。こうしたビジネスモデルは一朝一夕で確立できたわけではなく、2007年の設立時から人と人とのかかわりを大切にしながら、真摯(しんし)に築き上げてきたものです。未曽有の出来事であった新型コロナウイルスの感染拡大においても影響が限定的だったように、今後、かなりの有事が発生したとしても、当社のビジネスモデルが大きく崩れることはないのではないかと思います」
――事業成長の課題については、どう考えていますか。
「当社の事業では、市場性の高い魅力的な店舗物件をいかに早く仕入れ、転貸借物件数を増やすかということが最大のポイントとなります。良質な物件を増やすには営業を中心とした人材の拡充、育成が重要で、現在は年間25~30人の採用を行うと同時に、育成体制の体系化、平準化を進めています。中・長期的な経営目標としては、25年3月期に営業担当者数100人、29年3月期に転貸借物件数5500件とすることで、売上高300億円規模、営業利益30億円規模の企業となることを目指しています。直近では、政府による経済の正常化が進められており、飲食店における客足は戻りつつあるものの、新型コロナの感染拡大が収束したわけではなく、先行きには不透明感もあります。しかし、当社としてはこれまで通りに事業展開を継続し、不動産オーナー、不動産業者、飲食店などの皆様に対する責任を着実に果たすことで、企業価値を向上させていく予定です」
――社会貢献活動にも積極的ですね。
「当社は19年から、CSR活動として、飲食店を活用したこども食堂『お店のこども食堂』を開始しました。今年9月までの参加店舗数は39店舗、総開催数は365回、総来店数は3590人に及びます。こども食堂はさまざまな地域で行われていますが、開催場所や衛生的な環境の確保、活動資金の捻出といった点に課題があることも多いのが現状です。当社は2000件以上の店舗物件を飲食店などに貸しており、飲食店には常に清潔で快適に食事できる環境があることなどから、その強みを最大限に生かした開催を行っています。実際に開催するのはあくまで飲食店自身となりますが、当社がこども食堂の運営費用の支援をしています。こうしたこども食堂の広がりと継続性を担保できる取り組みから、『お店のこども食堂』は22年度グッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会主催)を受賞しました。今後は、当社の純利益の1%を活動原資と位置付け、ポストコロナに向けて、より積極的な展開を図る予定です」
関連記事
-
ナレッジスイート・稲葉雄一社長に聞く:持株会社化でさらなる成長へ
2022/11/28 9:00
ナレッジスイート(=ナレッジS、3999)は営業活動支援のクラウドサービスを展開している。主力サービスはSFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)クラウドサービス「Knowledge Sui・・・…続き
-
サイジニア:ZETAとの経営統合で成長加速へ
2022/11/28 9:00
サイジニア(6031)は同社および子会社のデクワスがインターネット広告サービス、2021年7月に経営統合したZETAがCX(顧客体験)サービスを手掛ける。レコメンドサービス、アドサービスで集客し、そ・・・…続き
-
教育現場の「外注化」進む、人手不足解消へ向け浮上する銘柄は?
2022/11/24 17:25
人手不足の影響が教育現場で深刻化している。今年1月に文部科学省が発表した「『教師不足』に関する実態調査」によれば、昨年5月時点で全国の小中・高等学校における教師の不足率は全国で0.28%(規定数は0・・・…続き
-
<信用研究>アシックスが売り長に転じる――全体の信用倍率は悪化
2022/11/24 11:42
東証が22日に発表した11月3週(18日申し込み時点)の信用取引残高(2市場合計)は、日経平均株価が伸び悩む中で、逆張り的に買い残が増加した。一方、個別銘柄のはアシックス(7936)が売り長に転じた・・・…続き
速報ニュース
-
10分前
-
11分前
-
12分前
-
13分前
-
<飛翔期待のお宝株>「24年問題」商機はこれから、見直し余地大きいUPR
27分前
-
丸紅、重要インフラ向けにデジタル化ソリューションを提供する米AiDashに出資
33分前
-
洋エンジ、日精線、中部電、中部電ミライズとアンモニアを原料に水素を製造する装置の実用化で覚書
34分前
-
35分前
-
倉元、次世代半導体パッケージ向けのTGV・TSV・SiCで中国MDK社と製造委託契約
36分前
-
37分前