米10月新築住宅販売件数、前月比7.5%増の63.2万件―市場予想上回る

経済

2022/11/24 9:46

<チェックポイント>

●販売件数は主力の南部で急増―ハリケーン災害の復旧需要で

●住宅価格は前月比8%上昇―過去最高値を更新

●10月の急増は一過性との見方―住宅ローン金利上昇で厳しい市場環境続く

 米商務省が23日に発表した10月の新築住宅販売件数(季節調整済み)は、年率換算で前月比7.5%増の63万2000件と増加に転じ、市場予想の平均値である57万件を上回った。前年比は5.8%減と17カ月連続で前年水準を下回った。また、過去の販売件数は、9月分が60万3000件から58万8000件、8月分が67万7000件から66万1000件に修正され、計3万1000件の下方改定となった。

 前月比での増加は、10月に上陸した大型ハリケーン「イアン」被害を受けた主力の南部で復興需要による販売が急増したためとみられる。

 10月販売件数の内訳は、着工前時点での販売件数(バックログ)が前月比80%増の18万4000件と大幅増に転じ、1月の21万2000件以来9カ月ぶりの高水準となった。一方、建築中の住宅販売件数は同10%減の26万3000件と2カ月連続で減少。完成住宅の販売件数は同4%減の18万5000件と、7月の16万5000件以来の低水準となっている。

 10月の住宅価格は中央値(季節調整前)で、前月比8%上昇の49万3000ドルと2カ月連続で上昇し、過去最高を記録した7月の47万8200ドルを上回った。前年比は15.4%上昇となり、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)を圧迫する。

 販売価格帯を見ると、40万ドル以上の高額物件の販売比率が69%と、9月の65%から上昇。30万ドル未満の手ごろ物件比率も12%と、前月の8%を上回ったが、1年前の18%を下回っており、建築コスト高を反映し、手ごろ物件の供給不足が続いている。

 地域別販売件数は、全体の約70%を占め、販売件数が最も多い南部が同16.0%増の39万9000件となり、全体を押し上げた。北東部も前月比45.7%増の5万1000件と急増した。対照的に、南部に次ぐ規模の西部は同0.8%減の13万2000件、中西部は同34.2%減の5万件となった。

 10月の新築住宅在庫は、前月比1.5%増の47万件となり、08年2月の47万7000件以来14年8カ月ぶりの高水準となった。10月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は8.9カ月相当と、前月の9.4カ月相当から低下したが、住宅建築業界が需要と供給のバランスが取れた容認可能な水準とする6カ月相当を上回った。

 市場では、10月の販売急増をハリケーンなどの特殊要因を背景とした一過性の数字と見ている。今後もFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げが続く見通しで、住宅ローン金利の加速による住宅購入者のアフォーダビリティの低下や、建築資材不足や労働者不足、さらには建築コストの上昇により、手ごろな価格帯の住宅供給が困難となるなど、新築市場には逆風が吹き続けるとの見方が多い。

提供:モーニングスター社

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