【為替本日の注目点】FOMC議事録を受けドルが売られる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
祝日前には142円台まで上昇したドル円は反落。FOMC議事録が公開され、利上げペースの減速が近く適切になるとの内容で長期金利が低下。ドル円は139円16銭近辺まで売られる。ユーロドルは反発。ユーロ買いが進み、1.04台まで上昇。大幅な利上げペースが修正されるとの観測から株式市場は前日に続き3指数が揃って続伸。S&P500は4000ポイントの大台を回復し、「VIX指数」も3カ月ぶりの低水準に。債券は上昇し、長期金利は3.69%台まで低下。金は横ばい。原油は大幅に反落し、77ドル台に。
マーケット情報
新規失業保険申請件数 → 24.0万件
10月新築住宅販売件数 → 63.2万件
10月耐久財受注 → 1.0%
11月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 56.8
11月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 47.6
11月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 46.1
11月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 46.3
ドル/円 139.16 ~ 141.30
ユーロ/ドル 1.0318 ~ 1.0405
ユーロ/円 144.63 ~ 146.10
NYダウ +95.96 → 34,194.06ドル
GOLD +0.30 → 1,745.60ドル
WTI -3.01 → 77.94ドル
米10年国債 -0.063 → 3.693%
本日の注目イベント
日 9月景気先行指数(CI)(改定値)
トルコ 中銀政策金利発表
独 11月ifo景況感指数
欧 ECB議事要旨(10月27日開催分)
米 NY株式・債券市場休場(感謝祭の祝日)
祝日前の「今日のアナリストレポート」で「10日ぶりの142円台ということでドル売り注文も集まりやすいのではないかと予想しています」と書きましたが、やはり142円台は維持できず、それどころか昨日のNYでは139円台前半の水準までドルが売られています。
公開されたFOMC議事録が「リスクオン」を促したようです。利上げペースの減速が近く、適切になるとの判断が示されたことで、株式と債券が買われ、金利低下に呼応するかのようにドルが売られました。もっとも、NY株式市場に関しては、その前日(22日)に3指数が大幅高を演じ、その予兆があったように思えます。恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」は「20.35」と、8月19日以来となる低水準を付け、市場の恐怖感も徐々に薄れています。金はもう少し買われてもよかったのではないかと思いますが、先週に大きく買われていたこともあり、ほぼ横ばいでした。また、WTI原油価格が大きく売られ、77ドル台まで下げてきました。「OPECプラス」で増産が議論されるとの見方に加え、中国のコロナ感染が拡大していることも売りにつながっているようです。
今回のFOMC議事録は11月1~2日に開催された会合のもので、この会合では4会合連続で0.75ポイントの利上げが決定されています。議事録では「参加者の大部分は、引き上げペースの減速が近く適切となる可能性が高いと判断した」とあり、同時に「さまざまな当局者が委員会の目標達成に必要なフェデラルファンド(FF)金利の最終的な水準は、従来の見通しを幾分か上回る」と記されています。この議事録の内容からすると、債券が買われドル円が大きく売られる理由には乏しい様な気もします。議事録にもあったように、FF金利のターミナルレートが従来見通しよりも幾分高くなるとの見方があり、少なくとも今後も0.75~1.25ポイントの利上げの可能性が残ると判断できなくもありません。ただ、逆に言えば、市場は足元の急激な利上げペースが収束する見通しが立てばいいのであって、それが市場のリスクオンつながっているとみられます。乱暴な言い方をすれば、「目先が重要であって、先のことは後で考えればいい」といったことなのかもしれません。ブルームバーグのエコノミストは「FOMC議事要旨では、委員会とスタッフ双方のレベルで意外なほど強いハト派寄りの傾向が明らかになった」とし、「委員会の中では利上げペース減速に対する幅広い見解の一致が見られる。そうした見解はブレイナードFRB副議長が擁護してきたとわれわれは見ている。一方で金利がどこまで上昇すべきかについては、ほとんど確信が見られない」と論評していました。
これも先週触れましたが、ドル円は「日足の雲の下限」で下落を止められた形になっていましたが、雲が上昇する形状になっていることから、仮にドル円が横ばいで推移しても結果的に雲抜けしてしまう可能性があることに言及しました。昨日のドル円の下落で今回は完全に下抜けしています。ドルが横ばいで推移する中で抜けたのではなく、売られた流れで「下抜けした事実」には注意する必要があると考えます。同時に、「下抜け」したものの先週15日に記録した137円68銭を下回っていないのも事実です。この辺りの動きをどのように捉えるのか、難しい局面ではありますが、いずれの事実も意識しておくことが今後のトレーディングには有益でしょう。
本日のドル円は138円~140円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm
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