ナレッジスイート・稲葉雄一社長に聞く:持株会社化でさらなる成長へ

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2022/11/28 9:00

 ナレッジスイート(=ナレッジS、3999)は営業活動支援のクラウドサービスを展開している。主力サービスはSFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)クラウドサービス「Knowledge Suite」。さらに、それ以外にも多数のサービスがあり、各サービスの強化を目的に2023年4月に持株会社化する予定だ。サービス間、子会社間のシナジー(相乗)効果も追求し、成長力強化にも取り組む。同社の現状と今後のビジョンについて稲葉雄一社長に聞いた。

各サービスに焦点を当てシナジー強化も

 ――持株会社化の目的は何ですか。

 「当社は『Knowledge Suite』をはじめ、ビジネスチャット『InCircle』、インサイドセールス向けマーケティングデータサービス『Papattoクラウド』、タレントテック事業『ビジネスブースト』など複数のサービスを展開しており、それぞれ好調です。しかし、社名でもある『Knowledge Suite』が特に注目される傾向にあることから、各サービスについてより一層の成長を期すため、持株会社化する予定です。『Knowledge Suite』だけでなく、ほかのサービスのKPI(重要業績評価指標)もはっきりと示し、それぞれの成長がよく分かるようにしていきます」

 ――持株会社化のメリットを教えてください。

 「各事業会社の権限と責任を明確化し、自律的な経営を推進することで、意思決定の迅速化から、効率的で機動的な事業運営が可能になります。中堅・中小企業向けセールスDX(デジタルトランスフォーメーション)市場は急成長しており、その成長率を超える速さで成長するために、意思決定の迅速化は重要です。また、それがマーケティングDX領域という成長分野への挑戦、次世代経営人材の育成にもつながっていくでしょう。さらに、グループでシステムエンジニアリング事業、システムインテグレーション事業を手掛けるアーキテクトコアの技術者をグループ全体で活用するなど、グループ間の事業シナジーも期待できます」

 ――御社はこれまでM&A(企業の合併・買収)による規模拡大を図ってきた面もあります。

 「21年7月にはネットビジネスサポートを子会社化しました。現在、ネットビジネスサポートの『Papattoクラウド』は『Knowledge Suite』と連携し、サービス拡充、顧客開拓に貢献しています。また、22年10月には新子会社ブーストマーケティングを設立し、新たにタレントテック事業『ビジネスブースト』を開始しました。M&Aもしくは新子会社設立で事業拡大を図るということも、持株会社化すればよりやりやすくなるでしょう。また、持株会社化により、これまでのM&Aで増加した事業、サービスの再編も実施し、将来の成長力強化につなげていきます」

 ――今9月期の連結業績予想は売上収益38億3400万~40億7100万円(前期比18.5%増~25.9%増)、営業利益2億1300万~2億4900万円(同74.0%増~2.0倍)を見込んでいます。

 「21年11月発表の『中期経営計画2024』の計画通りで変更はありません。現段階では最終年度である24年9月期の目標についても売上収益50億4800万~53億6000万円、営業利益5億1700万~6億400万円を据え置いています。引き続きDX営業人員の強化から、顧客獲得とともに、カスタマーサクセス活動を推進し、クロスセル案件の創出にも取り組みます。近年は新型コロナでオンライン営業が中心となっており、オンラインでは商談が長期化する傾向がありましたが、少しずつ対面の営業が増え、これからは受注増が見込めるでしょう。こうした中で、持株会社化をきっかけに、さらなる事業拡大を目指します」

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