<新興国eye>豊田通商、カンボジアで車両組立事業会社を設立

新興国

2022/11/25 8:45

 11月14日、豊田通商<8015.T>は、カンボジアにおいて、車両組立事業会社Toyota Tsusho Manufacturing (Cambodia) Co., Ltd.(豊田通商マニュファクチャリング(カンボジア):TTMC)を設立したと発表しました。資本金は2100万ドルで、出資比率は、豊田通商90%、クンヌングループ10%とのことです。本事業の投資額は、約3680万米ドル(約51億5000万円)となります。プノンペン経済特区内に建設予定のTTMCの新工場では、トヨタのピックアップトラック「ハイラックス」およびトヨタのSUV「フォーチュナー」を現地組立する計画です。

 本事業は、2022年11月12日の日本・カンボジア首脳会談時に、カンボジア政府と豊田通商が締結した「自動車産業の発展に向けた協業に関するMOU」に基づく取り組みです。締結式では、フン・セン首相と岸田文雄内閣総理大臣の列席の下、カンボジアのオウン・ポン・モニロット副首相兼経済財政大臣と豊田通商の今井斗志光副社長が署名しました。

 カンボジアでは、完成車輸入時の税金(特別税等)が高いため、国内販売向けに部品を輸入して組み立てるノックダウン生産を行う工場が進出し始めています。RMA社は、今年6月に、プルサット州でフォードブランドの自動車を組み立てる工場を稼働させています。同工場の投資規模は2100万ドル(約30億円)で、年産9000台を計画しています。

 カンボジアの周辺国であるタイやベトナムには、トヨタ車の部品を製造する多くの企業が進出しています。その一部は、カンボジアでも部品を製造しており、こうした部品を南部経済回廊を通じて輸送し、組み立てる方式は、完成車輸入時の税金を避けるとともに、製造コストの安い部品を選んで組み合わせることで、完成車のコスト引き下げに有効であるものと見られます。いかなる形であれ、カンボジアで「トヨタ」車が製造されるということは画期的なことであり、今後の発展が大いに期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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