<新興国eye>前週のブラジル株、パラナ電力民営化や米利上げ減速観測で3週ぶり反発=BRICs市況

新興国

2022/11/28 8:57

 前週(21-25日)のブラジル株式市場は25日のボベスパ指数が前日比2.55%安の10万8976.7、週間ベースでは18日終値比0.10%高と、3週ぶりに反発した。

 週明け21日は指数が上昇。翌22日は反落した。23日も続落。24日は急反発した。

 週前半は、国営電力大手パラナ(コペル)が民営化の観測で急騰し、上げを主導した。ただ、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録の公表を控え、また、重要な貿易相手国である中国で新型コロナの感染拡大に歯止めがかからないことが嫌気され、上値は重くなった。その後は、ルラ新大統領のエイド・ブラジルの拡充計画(1世帯たり600レアルの追加助成金の支出)が憲法補足法(PEC)の適用外とする法案が近く、議会で成立するとの憶測で、売りが優勢となった。

 週後半は、エイド・ブラジルの拡充による財政赤字の拡大懸念や、新型コロナ感染拡大による中国の成長率鈍化懸念で、売りが一段と強まった。また、原油価格が下落し、資源セクターが売られ、下げを主導した。ただ、FOMC議事録で、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げペースを減速させる可能性が示されたことを受け、資金流出懸念が緩和したため、下げは限定的となった。その後は、海外株高となり、ブラジル市場でも買いが優勢となった。ただ、サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会でブラジルの初戦が行われたことや、米株市場が休場となったため、薄商いとなった。

 週末25日は急反落。次期財務相に就任すると見られているフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長が講演会で、歳出抑制への明確なシグナルを発信しなかったことが嫌気され、財政悪化懸念で売りが優勢となった。

 今週(11月28日-12月2日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢巡る米中関係、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、特にルラ大統領の経済政策も注目される。主な経済指標の発表予定は29日の11月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-MIインフレ指数と10月PPI(生産者物価指数)、30日の10月財政収支、1日の7-9月期GDP伸び率と11月貿易収支、2日の11月IPC-Fipeインフレ指数(サンパウロ大学経済研究所(FIPE-USP)が発表する消費者物価指数)と10月鉱工業生産など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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