<新興国eye>トルコ7-9月期GDP伸び率、予想下回る前年比3.9%増―前期から伸び鈍化

新興国

2022/12/2 8:53

 トルコ統計局が11月30日発表した7-9月期GDP(国内総生産)伸び率(季節調整後、09年=100として)は前年比3.9%増(前期比0.1%減)と、前期(4-6月期)の同7.7%増(同1.9%増)や前々期(1-3月期)の同7.5%増(同0.6%増)から伸びが急減速。市場予想(4.7%増)も下回った。20年7-9月期以降9期連続でプラス成長となったが、20年全体の1.9%増以来約2年ぶりの低い伸び。

 この結果、1-9月期のGDP伸び率は前年比6.2%増となった。今回の統計結果を受け、ヌーレッディン・ネバティ財務相は、「今年の成長率は政府の中期3カ年計画通り、約5%増になると予想している」とした。市場でも5.2%増を予想している。

 9月4日に政府が発表した新中期3カ年経済計画(23-25年)では、23年は5.0%増、24年と25年はいずれも5.5%増になると予想している。ちなみに、21年のGDP伸び率は前年比11.4%増と、10年ぶりの高い伸びとなり、20年の同1.8%増や19年の同0.9%増を大幅に上回っている。

 GDPの約7割を占める家計最終消費支出(個人消費)は前年比19.9%増となったが、前期の同22.5%増から伸びが減速し、全体の伸びを抑えた。ただ、9期連続の増加となった。前期比は3.9%増と、これも前期の4.3%増から伸びが鈍化。市場ではインフレの急加速(10月インフレ率は前年比85.51%上昇、9月は同83.45%上昇)により、消費が抑えられたと見ている。

 GDP押し上げ要因の輸出が成長をけん引、8期連続で増加した。ただ、輸出の伸びは前年比12.6%増と、前期の16.4%増から減速、個人消費と同様、輸出にも陰りが見えている。世界景気の後退が背景。一方、GDP押し下げ要因の輸入は同12.2%増と、前期の同5.8%増から急加速し、4期連続で増加した。輸出の伸びが輸入を上回ったため、外需全体としてGDPの押し上げに寄与している。

 このほか、総固定資本形成は同1.3%減と、前期の同5.0%増から4期ぶりに減少。対照的に政府最終消費支出は同8.5%増と、前期の同2.0%増から4倍増となった。市場では政府支出の拡大が個人消費の陰りを補ったと見ている。今後、来年6月の大統領選と国会総選挙を控え、レジェプ・タイップ・エルドアン大統領は新たな景気対策を打ち出すと予想している。

 一方、生産面では、金融・保険業が前年比21.6%増と、最も高い伸びとなった。次いで情報・通信業が同13.9%増、行政支援などの専門職サービスは同12.6%増、公共行政・教育・医療・社会福祉が7.6%増、サービス業が同6.9%増、その他サービス業が同4.9%増、不動産業が同4.1%増と、いずれも全体のGDP伸び率(3.9%増)を上回った。対照的に、建設業は同14.1%減と、最も低い伸びとなった。農林水産業は同1.1%増、鉱工業は同0.3%増(うち、製造業は同1.7%増)だった。

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 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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