<新興国eye>トルコ11月CPI、前年比84%上昇―1年6カ月ぶり伸び減速、今後も減速続く見通し

新興国

2022/12/6 8:57

 トルコ統計局が5日発表した11月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比84.39%上昇と、前月(10月)の85.51%上昇を下回り、21年5月以来、1年6カ月ぶりに伸びが減速した。市場予想(84.8%上昇)も下回り、サプライズとなった。ただ、依然として、98年7月(85.35%上昇)以来、24年4カ月ぶりの高い伸びとなっている。

 同国のCPI伸び率はコロナ禍の悪影響が強まった20年の5月はサプライチェーン(部品供給網)の寸断により、前年比11.39%上昇、6月も同12.62%上昇と、2カ月連続で加速。その後、コロナ禍が一服し、サプライチェーンが正常化したことを受け、7月には同11.76%上昇に鈍化した。しかし、最近ではウクライナ戦争の勃発(2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、インフレ率は21年6月(同17.53%上昇)以降、前回10月まで17カ月連続で急加速していた。

 11月CPIの前月比も2.88%上昇と、10月の3.54%上昇や9月の3.08%上昇を下回り、3カ月ぶりに伸びが減速。8月の1.46%上昇以来、3カ月ぶりの低い伸びとなった。

 セクター別(前月比)では、食品・清涼飲料水が5.75%上昇と、最も高く、次いで、アルコール飲料・たばこが3.19%上昇、ホテル・カフェ・レストランは3.18%上昇、家具・生活用品は3.01%上昇となり、全体の伸び(2.88%上昇)を上回った。

 このほか、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは2.61%上昇、通信は2.38%上昇、レクリエーション・文化は2.08%上昇、住宅(光熱費や修理費)は1.83%上昇、、運輸は1.35%上昇、ヘルス(薬局・美容)は1.02%上昇、教育は0.25%上昇となった。対照的にアパレル・靴は1.42%低下と、最も低い伸びとなった。

 また、全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコアCPI(グループC)も前年比68.91%上昇と、10月の70.45%上昇を下回り、13カ月ぶりに伸びが減速した。

 セクター別の前年比(全体指数)では、運輸が107.03%上昇(前月は117.15%上昇)と、最も高い伸びとなった。次いで、食品・清涼飲料水が102.55%上昇(同99.05%上昇)。家具・生活用品が92.83%上昇(同93.63%上昇)となり、全体の伸び(84.39%上昇)を上回った。

 このほか、アルコール飲料・たばこが83.49%上昇(同77.88%上昇)、住宅(光熱費や修理費)は82.85%上昇(同85.17%上昇)、ホテル・カフェ・レストランは80.30%上昇(同81.92%上昇)、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは70.73%上昇(同75.29%上昇)となった。対照的に、通信は35.87%上昇(同33.48%上昇)と、最も低い伸びとなった。

 11月の統計結果について、ヌーレッディン・ネバティ財務相は、「コモディティ(国際相場商品)の安定とリラ高に向けた措置が寄与した。インフレはピークに達したあと、減速傾向に入った」とし、その上で、「ベース効果により、来月からインフレ率の減速が予想される」と述べている。市場でも前年同期のインフレ率が高かったため低目の数値が出る、いわゆるベース効果で23年10-12月期まで伸びは減速すると見ているが、23年6月24日の大統領選挙と国民議会総選挙を控え、政府は景気回復を優先させるため、財政支出の拡大や金融緩和措置により、インフレ率は当分の間、高い伸びが続くと予想している。

 トルコ中銀は10月27日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、22年末時点のインフレ見通しを65.2%上昇、23年末時点の見通しは22.3%上昇、24年末時点も8.8%上昇と予想している。

 また、政府が9月4日に発表した23-25年の新中期3カ年経済計画では、インフレ率の見通しは22年末時点で65.0%上昇、23年末時点で24.9%上昇、24年末時点で13.8%上昇、25年末時点で9.9%上昇を予想している。

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 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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