【為替本日の注目点】ドル円136円台を回復
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
東京時間ではほぼ134円台で推移していたドル円はNYで急反発。11月のISM非製造業景況指数が予想を大幅に上回ったことで、FRBによる利上げが続くとの観測からドル高が進む。ドル円は136円86銭まで買われ、この日の高値圏で引ける。ユーロドルは1.0594まで上昇し、約半年ぶりの高値を付けたが、その後反落。米経済指標の上振れから株式市場は全面安。ダウは500ドルを超える下げとなったが、引けは482ドル安。ナスダック、S&P500も大幅下落。債券も下落。長期金利は3.57%台に上昇。金はドル高が嫌気され大幅に続落。原油は朝方買われたものの、その後急落し、77ドル台を割りこむ。
マーケット情報
11月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 46.2
11月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値) → 46.4
10月耐久財受注 → 1.0%
10月製造業受注 → 0.8%
11月ISM非製造業景況指数 → 56.5
ドル/円 135.03 ~ 136.86
ユーロ/ドル 1.0481 ~ 1.0594
ユーロ/円 142.97 ~ 143.62
NYダウ -482.78 → 33,947.10ドル
GOLD -28.30 → 1,781.30ドル
WTI -3.05 → 76.93ドル
米10年国債 +0.087 → 3.574%
本日の注目イベント
豪 7-9月期経常収支
豪 RBA、キャッシュターゲット
独 10月製造業新規受注
米 10月貿易収支
米 ジョージア州、上院決選投票
加 10月貿易収支
ドル円は大きく反発し、NY市場では136円86銭前後まで買われる場面もありました。先週末の欧州市場でのドルの安値からはわずか1日で3円以上も値を戻したことになり、結局「往って来い」の相場展開になっています。昨日のコメントでもドルが反発する可能性が高いことに触れましたが、(参照:12月5日付け、「今週のレンジ予想」)、米インフレはそう簡単に収まることにはならず、その結果FRBは利上げ継続を余儀なくされるとの観測が強まったことが背景です。
米供給管理協会(ISM)が発表した11月の非製造業総合景況指数は、市場予想に反して上昇していました。予想は「53.5」でしたが、結果は「56.5」と、市場予想だけではなく先月の「54.4」をも上回っていました。先週発表された製造景況指数が「49.0」と、活動の拡大、縮小の境目である「50」を2020年5月以来初めて下回っていたこともあり、昨日の非製造業景況指数も弱目の数字が予想されていました。それだけに予想を大きく上回る結果は、市場には「サプライズ」と受け止められ、ドル円はNY時間だけでも1円80銭程上昇し、円は主要通貨の中では圧倒的に売られ、全面安の展開でした。予想外の強めの結果に、ドルが買われただけではなく、今後も利上げスタンスが継続されるとの見方から、株式市場はほぼ全面安となり、低下傾向にあった米長期金利も上昇。さらには、1800ドル台を大きく超えた金も下げ、1781ドル台で引けています。WTI原油価格も大きく売られましたが、これはEUとG7がロシア産原油に設定した「1バレル当たり60ドル」という上限価格の適用初日であったことも影響したようです。
ISM非製造業景況指数は通常、あまり注目される経済指標ではありませんが、投資家が米国のインフレの行方にいかに注目し、その結果が全ての金融資産に大きな影響を与えると認識している証左でもあります。今後も消費者物価指数(CPI)や雇用統計だけではなく、このようなやや注目度の低い経済指標にも注意する必要があるようです。11月の非製造業では13業種が「拡大」と報告され、特に不動産やレンタル、リース、鉱業、農業などで伸びが目立っています。ISMの担当者は、「ホリデーシーズンで事業者の活動が活発になった。財部門ではディスインフレ傾向が一段と広がっているが、非製造業指数の仕入れ価格サブ指数は、サービス業におけるインフレの勢いが依然強いことを裏付けた」と述べています。(ブルームバーグ)
本日はオーストラリア準備銀行(RBA)が政策金利の発表を行います。市場では0.25ポイントの利上げを見込んでいますが、引き締めサイクルは終わりに近づいていると見られます。利上げサイクルの終焉に言及するのかどうか、RBAの声明文に注目が集まります。
ドル円は135-140円のレンジで推移するのではないかと予想していますが、昨日のNYでの急反発を受け、短い「1時間足」では雲抜けを完成させ、雲の形も、下落から上昇に転じて来ました。「先行スパン1」が「先行スパン2」を上抜けしたことで上昇の雲を示現させています。ただ、このまま一方的に上昇する可能性は低いと見ています。今日の目安は「2時間足」の雲の上限である「137円32銭近辺」に注目しています。この水準を抜けば、もう一段の上昇も期待できそうですが、市場のセンチメントは依然として「ドルベア」であることに変わりはありません。
本日のドル円は135円30銭~137円50銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm
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