<年末年始特集>相場波乱でインカムに的、3月高利回り株をマーク

株式

2022/12/30 16:17

 世界景気の先行き不透明感に日銀の政策転換が重なり、投資家がリスクを取りにくい環境になってしまった。こうした中で頼りにされやすいのが配当利回りだ。3月期末の権利取りを意識した動きが本格化しそうだ。

―12月配当銘柄が好パフォーマンス―

 日経平均株価は、日銀が長期金利の許容変動幅を拡大したことを受けて一段安となり、依然として弱い基調が続いている。12月20日の金融政策決定会合以後、下げ幅は一時1000円を超えた。円高方向への圧力とともに、海外勢の売りが上値を抑え込んでいるとみられる。

 世界的にも、FRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めの長期化が経済に影を落とす。業績への不安は、株式投資におけるキャピタルゲイン(売却益)を狙いにくくする要素だ。

 一方で、配当金によるインカムゲインへの関心は根強く、リスク許容度がしぼんでいる現在のような状況では、より確実に利益を上げようと高配当利回り株に注目する向きが増える傾向にある。実際、12月期末配当株は、ミズホメディー<4595.T>やグローバル・リンク・マネジメント<3486.T>、LAホールディングス<2986.T>、光ビジネスフォーム<3948.T>といった高利回り株が権利付き最終日までの3カ月のパフォーマンスが好調だった。

 同様に、3月期末へ向けても高配当利回り株への買い人気が高まる可能性がある。利回りがずば抜けている海運などは、既に足元で他業種を圧倒。今後もそうした動きが広がりそうだ。

―勝率9割、有沢製や浅沼組など注目―

 野村証券の分析によれば、2000-21年度のおよそ20年間で、高配当利回り銘柄(注)は1-3月(権利付き最終取引日まで)に市場平均(TOPIX500指数構成の3月決算銘柄の単純平均)を3%程度アウトパフォームした。アンダーパフォームしたケースは同期間で2回だけだといい、勝率は実に91%に達する。

 3月期末のみの配当をベースにした利回りが高い銘柄は、海運大手や三井松島ホールディングス<1518.T>のほか、期末一括で約7%の有沢製作所<5208.T>をはじめ、浅沼組<1852.T>、フォーラムエンジニアリング<7088.T>、大豊建設<1822.T>、トーメンデバイス<2737.T>、トーヨーカネツ<6369.T>、アグレ都市デザイン<3467.T>などに注目したい。

(鈴木草太)

注・TOPIX500構成の3月決算銘柄を、毎月今期予想配当利回りの大きさにより5分割した際の最上位グループ

提供:モーニングスター社

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