永濱利廣のエコノミックウォッチャー(33)=12月短観から見る企業業績動向

コラム

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2023/1/5 9:30

 

 昨年12月の日銀短観の大企業調査(11月上旬~12月上旬に資本金10億円以上の大企業約1900社を対象に実施)を基に、今年1月下旬から本格化する四半期決算発表の動向を占っていく。

資源高やリオープン映す

 同調査で示された半期ごとの業績計画によれば、2022年度(23年3月期)は売上高の前年比プラス幅が下期(昨年10月~今年3月)に縮小する。また、経常利益っは従来予想から下方修正され、減益幅が拡大している。このことから、企業は次の決算発表で22年度の業績見通しを引き続き慎重に打ち出してくる可能性が高そうだ。

 ただ、そうした中でも売上や利益の計画の大幅な上方修正が期待される業種もある。

 まず、売上高に関しては、22年度は「小売」を除くすべての業種で増収が見込まれる。従来比で最大の上方修正率となっているのが「石油・石炭製品」の25.0ポイント。さらに「電気・ガス」の18.0ポイント、「造船・重機、その他輸用送機械」の7.9ポイントが続く。

 石油・石炭製品や電気・ガス、「鉄鋼」(上方修正率5.9%)については、ロシアのウクライナ侵攻に伴う鉱物性燃料や金属の世界的な供給不足を背景に、価格上昇や代替需要の増加による価格転嫁が進んだことが反映されたとみられる。

 一方、「対個人サービス」も従来比で4.0ポイントの上方修正となった。コロナ禍からのリオープン(経済活動再開)や水際対策の緩和が需要拡大につながっているようだ。こうした業種の企業の売上高は膨らみそうだ

鉱業など利益増額幅大きく

 経常利益の上方修正率が最も大きいのは、170.4ポイントの「鉱業・採石業・砂利採取業」や31.6ポイントの「造船・重機、その他輸送用機器」。前者は資源高騰、後者は半導体などの部品不足の緩和が影響し、収益の改善が見込まれる。また、こちらもリオープンの恩恵を受ける「宿泊・飲食サービス」や「運輸・郵便」、「対個人サービス」が上位に付けた。

 このように、次の四半期決算で経常利益見通しの上方修正が期待される業種は、新型コロナウイルスに対する国民の警戒心の低下や政府の観光支援策、水際対策の緩和が追い風のサービス関連に加え、価格転嫁やサプライチェーンの混乱収束が好材料となるセクターが注目される。

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【プロフィル】永濱利廣…第一生命経済研究所・首席エコノミスト/鋭い経済分析を分かりやすく解説することで知られる。主な著書に「経済指標はこう読む」(平凡社新書)、「日本経済の本当の見方・考え方」(PHP研究所)、「中学生でもわかる経済学」(KKベストセラーズ)、「図解90分でわかる!日本で一番やさしい『財政危機』超入門」(東洋経済新報社)など。

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