日電産、下値は買い好機か――利益大幅減額もアク抜け近い?

ニュース

無料

2023/1/25 8:24

 今3月期の連結営業利益予想を大幅に下方修正した日本電産(6594)にはきょう25日、厳しい株価反応も想定される。ただ、大きく下げた場合は少なくとも短期的な買い好機になるかもしれない。

10~12月車載事業赤字、構造改革へ

 同社が24日に発表した今期第3四半期(昨年10~12月)決算は、営業利益が280億円(前年同期比37%減)だった。車載事業の赤字転落に加え、構造改革費用を約130億円計上したことが主因。通期の営業利益の見通しは前期比35%減の1100億円(従来2100億円)に変更した。

 世界景気の悪化により、市場では一定の業績への影響は織り込まれていた。しかし、営業利益のコンセンサスは10~12月が500億円超だった。一過性の費用(構造改革費用)を除いても基調は弱く、中国では新型コロナウイルスの逆風もあり、EV(電気自動車)モーターの第2世代製品の立ち上げコストがかさんだ。

 決算発表後の日電産のPTS(私設市場)の株価は一時6849円(24日東証終値は7551円)まで値下がりし、最終的にも7000円を割り込んだ。ADR(米国預託証券)も24日東証終値比で約7%下落している。マーケットにとってネガティブな内容だったことは間違いない。

 しかし、アク抜けは遠くないとみる向きもある。その一端を示すのがアナリストの投資判断だ。

米系証が「弱気」打ち止め

 日電産のレーティングを昨年9月下旬から弱気の「アンダーウエート」としてきたモルガン・スタンレーMUFG証券は、今回の決算を受けて中立の「イコールウエート」に引き上げている。今年1月に6300円まで切り下げていた目標株価も、一転して8000円に上積みした。

 また、野村証券は「Buy」(買い)を継続し、目標株価1万300円を据え置いた。リポートでは「車載関連の製品関連費用がサプライズ」と指摘しつつも、EVモーターとM&A(企業の合併・買収)、重点分野への経営資源の投入を軸に持続成長が期待できる点を強調し、来期の営業利益を2080億円とする従来の予想を維持した。

 日電産の株価は、今年初めに2020年6月以来の安値となる6658円まで下落したのを起点にその後は持ち直し、24日には1カ月ぶりの水準を回復していた。下方修正によるマイナスインパクトは見極めにくいものの、7000円を大幅に割り込むような場合は下値を拾う動きも増えそうだ。

 もっとも、あまりに楽観的になるのは尚早だ。ウエートの大きい中国市場のV字回復には不透明感が残る。CLSA証券は弱気のレーティング(Sell<売り>)を継続し、目標株価を5000円(従来6000円)まで引き下げている。

(写真:123RF)

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ