【為替本日の注目点】東京都区部のCPI上昇を受け、ドル円朝方に下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は上昇し、NYでは130円台半ばまで買われた。米10-12月期GDPが2.9%と、市場予想を上回ったことで、米経済ソフトランディング可能との見方が広がり、リスクオンの流れに。ユーロドルはドル高にもかかわらず、1.08台半ばで下げ止まる。上値は再び1.09台前半まで上昇。ドイツを中心に経済指標の上振れが支えに。このところ上昇傾向を見せている株式市場は3指数が揃って続伸。ダウは205ドル上昇し5日続伸。この間の上げ幅は900ドルを超える。債券は反落。株が上昇したこともあり、債券は売り優勢に。長期金利は3.49%台に上昇。ドルが買われたことで金は反落。原油は続伸。
マーケット情報
米新規失業保険申請件数 → 18.6万件
10-12月GDP(速報値) → 2.9%
12月新築住宅販売件数 → 61.6万戸
12月耐久財受注 → 5.6%
ドル/円 129.69 ~ 130.62
ユーロ/ドル 1.0850 ~ 1.0917
ユーロ/円 141.29 ~ 141.90
NYダウ +205.57 → 33,949.41ドル
GOLD -12.60 → 1,930.00ドル
WTI +0.86 → 81.01ドル
米10年国債 +0.053 → 3.495%
本日の注目イベント
豪 第4四半期生産者物価指数
豪 10-12月四半期輸入物価指数
日 1月東京都区部消費者物価指数
米 12月個人所得
米 12月個人支出
米 12月PCEデフレータ(前月比)
米 12月PCEデフレータ(前年比)
米 12月PCEコアデフレータ(前月比)
米 12月PCEコアデフレータ(前年比)
米 12月中古住宅販売成約件数
米 1月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
米 企業決算 → アメックス
FOMCを前に、ドル円は一進一退の動きとなっています。短期的にはこれといったはっきりした方向感もない中、値幅だけはあり、まずまずの展開です。昨日のNYでは130円62銭前後までドル高が進み、再び131円をテストするかの雰囲気もありました。
発表された米第4四半期が「2.9%」と、市場予想の「2.6%」を上回りましたが、第3四半期の「3.2%」よりは減速しており、また内容的には強弱まちまちでした。市場では米景気がソフトランディングできるとの見方も浮上し、安心感からか、株価は続伸し、債券が売られるといった「リスクオン」の流れが強まったようです。米GDPの7割を占めると言われる個人消費は「2.1%」と、予想を大きく下回っていましたが、企業の在庫積み増しがGDPを押し上げたと分析されています。これはFRBにとっては願ってもない「朗報」で、今後インフレ率が低下する可能性が高まる一方、リセッション入りが避けられる状況も想定されます。また高騰を続けていた米国のアパート賃料が、昨年12月は低下していたことが明らかになりました。12月の賃貸料は前月比で「1.4%」低下し、全米ベースの賃料の中央値は1978ドル(約25万7000円)となっています。これは今後、インフレ率の押し下げに寄与するはずですが、消費者物価指数(CPI)に反映されるには一定の時間がかかるとみられています。
ただ「好材料」だけではありません。新規失業保険申請件数を見ると、そう安心はしていられない状況も浮かび上がってきます。申請件数は先週から6000件減少の「18.6万件」でした。これは昨年4月以来、9カ月ぶりの低水準で、減少は2週連続となります。失業保険申請件数の減少は、労働市場が依然として拡大していることを示唆し、個人消費の伸びは鈍化しているものの、基本的な「人手不足」の状況は続いていると想定されます。今夜発表される個人消費支出やPCEデフレータなどで、より詳細が判明することになりそうです。IMFは26日、日本経済に関する審査(対日4条協議)報告書を公表しました。報告書では、「日本銀行はインフレの上振れリスクと下振れリスクの両方に対応できるように長期金利変動のさらなる柔軟化が必要である。市場で起こる多くは日銀のコミュニケーションに左右される。超高水準の金融緩和から離れる条件や長期金利の許容変動幅を動かす条件について、日銀がいかに明瞭に伝えられるかが重要だ」と提言しています。また、「許容変動を突破されるかされないかを決定付ける上で、コミュニケーションは絶対的に重要だ」とした上で、「確かに単純な作業ではない」と付け加えていました。(ブルームバーグ)筆者はIMFが日本経済について評価したことを目にしたのは初めてですが、市場との対話が極めて重要で、コミュニケーション不足であることを鋭く指摘している点が印象的でした。FRBとの差は歴然です。
連日ウクライナ情勢に触れていますが、昨日ウクライナではロシアのミサイル攻撃で少なくとも11人が死亡したと発表されています。攻撃では、2発以上の超音速ミサイルを含む55発の巡航ミサイルが発射され、軍用ドローンも参加したとされています。アメリカやドイツが主力戦車を多数ウクライナに提供することを決めた翌日の攻撃で、その前に軍事行動を起した格好です。ウクライナのゼレンスキー大統領は、上記戦車に加え、軍用機や長距離ミサイルなど他の高度な兵器の供与も望むと語っています。バイデン大統領は、ロシアのウクラナ侵攻開始から約1年となる2月に欧州を訪問することを検討しているとNBCは報じています。
本日のドル円は128円30銭~130円80銭程度を予想します。
130円台半ばでNYでの取引を終えたドル円は、すでに129円65銭辺りまで下げています。1月の東京都区部のCPIが「4.3%」と、41年8カ月ぶりに高水準となり、日銀への金利引き上げ圧力が高まっていることが背景です。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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