<新興国eye>前週のブラジル株、通貨レアル高や金融緩和期待を受け3週続伸=BRICs市況

新興国

2023/1/30 9:06

 前週(23-27日)のブラジル株式市場は27日のボベスパ指数が前日比1.63%安の11万2316.16、週間ベースでは20日終値比0.25%高と、3週続伸した。

 週明け23日は指数が下落。翌24日は反発した。25日も続伸。26日は小反落した。

 週前半は、中銀が発表した経済週報「フォーカス・ブルティン」で、IPCA(拡大消費者物価指数)で見た23年のインフレ見通しが前週予想の5.39%上昇から5.48%上昇に引き上げられたことや、ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)の1月第3週IPCーS(週間消費者物価指数)が前月比0.62%上昇と、前回の同0.49%上昇や市場予想(同0.55%上昇)を上回ったことを受け、インフレ加速懸念が強まり、売りが優勢となった。その後は、米金利の低下や通貨レアル高、さらには中国での経済再開の進展で対中輸出が加速するとの思惑も支援材料となった。金融大手のイタウ・ウニバンコやブラデスコ、バンコ・サンタンデール・ブラジルの金融セクターや、鉱山大手ヴァーレが買われ、上げを主導。

 週後半は、通貨レアル高に加え、中銀の物価目標が引き上げられるとの観測で、金融緩和期待が強まり、買いが優勢となった。また、前週末、イーコマース(電子商取引)大手アメリカーナスが経営破綻して以降、株価が堅調な家具・電子機器小売り大手マガジン・ルイザが急騰し、上げを主導した。その後は、これまでの相場上昇を受け、高値警戒感から利食い売りが強まった。また、国営石油大手ペトロブラスが急落し、下げを主導した。同社の新CEO(最高経営責任者)にルラ大統領が指名した元上院議員のジーン・ポール・プラテス氏が正式に就任したため、ペトロブラスの経営が政府寄りになるとの思惑で売られた。

 週末27日は続落。引き続き、指数の構成ウェートが高い国営石油大手ペトロブラスと鉱山大手ヴァーレが下落し、下げを主導した。

 今週(1月30日-2月3日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢巡る米中関係、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済政策、ブラジル中銀とFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策決定会合(各1日)も注目される。主な経済指標の発表予定は30日の1月IGP-10インフレ指数(12月11日-1月10日まで物価変動指数)と12月財政収支、1日の12月PPI(生産者物価指数)と1月S&Pグルーバル・ブラジル製造業PMI(購買担当者景気指数)、2日の1月IPC-Fipeインフレ指数(サンパウロ大学経済研究所が発表する消費者物価指数)、3日の12月鉱工業生産と1月S&Pグルーバル・ブラジル非製造業PMIなど。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ