【為替本日の注目点】NY株FOMCを前にポジション調整進む
ひと目でわかる昨晩の動き
NY市場
ドル円は130円台を回復。米長期金利が上昇したことで、ドル買いが強まり130円56銭までドル高に。ユーロドルは再び1.09台に乗せ、1.0911までユーロ高が進む。ECBによる大幅利上げ観測が根強く、ユーロ高を支える。株式市場は3指数が大幅に下げる。FOMCの結果発表とハイテク企業の決算発表を前に、利益を確定する動きが加速。ダウは260ドル下げ、ナスダックも227ポイント下落。FOMCを前に債券も売られ、長期金利は3.53%台に上昇。金と原油は続落。
マーケット情報
ドル/円 129.97 ~ 130.56
ユーロ/ドル 1.0840 ~ 1.0911
ユーロ/円 141.44 ~ 141.97
NYダウ -260.99 → 33,717.09ドル
GOLD -6.40 → 1,939.20ドル
WTI -1.78 → 77.90ドル
米10年国債 +0.033 → 3.537%
本日の注目イベント
豪 豪12月小売売上高
日 12月失業率
日 12月鉱工業生産
中 1月中国製造業PMI
中 1月中国非製造業PMI
中 12月中国工業利益
新 IMF、世界経済見通し(WEO)、(シンガポール)
独 独1月雇用統計
独 独10-12月期GDP(速報値)
独 独1月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏10-12月期GDP(速報値)
英 英12月消費者信用残高
米 10-12月雇用コスト指数
米 11月ケース・シラ-住宅価格指数
米 1月シカゴ購買部協会景気指数
米 11月FHFA住宅価格指数
米 1月コンファレンスボード消費者信頼感指数
米 企業決算 → UPS、GM、キャタピラー
ドル円は再び130円台を回復し、NYでは130円56銭前後までドル高が進んでいます。株価の下げがきつく、「リスクオフ」が進んだ印象ですが、債券も売られ長期金利が上昇したことでドルが押し上げられた格好です。NY株は連日上値を追う展開でしたが、さすがにFOMCという重要イベントを前にポジション調整の売りが出たようです。また今週2日にはアップルやアマゾン、アルファベットといったIT大手の決算発表が控えていることも、調整売りを加速させています。
本日からFOMC会合が始まり、明日(日本時間では2日の朝4時)には決定内容が発表されますが、0.25ポイントの利上げはすでに市場に織り込み済みで、焦点は3月会合も含めて、今後の利上げスタンスがどのように見込まれるのかという点に移っています。ブルームバーグは今朝の記事で、「米金融当局は今週のFOMC会合で利上げペースの一段の減速に踏み切る方針の一方で、当局としては引き締めキャンペーンを終了する用意があるとの誤った印象を与えることを避けたい意向と考えられる」と予想しています。筆者も同じように、パウエル議長はインフレ率の鈍化は鮮明であると認めながらも、まだ引き締めの手綱を緩めるタイミングではないことを強調するのではないかと予想しています。株価の大幅下落という「痛み」も和らいでおり、ここでややタカ派的な発言を行い、前のめりになる市場のセンチメントを軌道修正する意味合いもあると考えられます。市場とコミュニケーション取ることに長けているFRBは、強弱の材料をうまく織り交ぜて、市場との対話を進めるものと思われます。
ブルームバーグはさらにタカ派的な予想もしており、「FOMC会合では利上げ幅を0.25ポイントに圧縮する決定を下すと広く予想されているが、パウエル議長はインフレ率を2%の当局目標に押し下げる取り組みを感じさせるものではないとの強いメッセージを発し、バランスを図るものと見込まれる。必要であれば、楽観的となっている金融市場に冷水を浴びせることも辞さない可能性がある」と報じています。2008年の金融危機を予言し、ベストセラーとなった「ブラック・スワン」の著者でもあるタレブ氏を擁する、米ユニバース・インベストメンツは、「客観的に見ても、金融史上最大の発火装置および時限爆弾といえる。その規模は1920年代後期よりも大きく、当時のような結果を市場にもたらす可能性が高い」と警鐘を鳴らしています。同社はブラック・スワン的なイベントに備えるファンド「ブラック・スワン・ファンド」を運用しています。やや衝撃的なメッセージに聞こえますが、市場には常に両極端な見方が跋扈するのは特別なことではなく、特にFOMCのような重要イベントを前にした際には普通のことです。
中国外務省の報道官は30日の定例記者会見で、マッカーシー下院議長に台湾を訪問しないよう呼び掛けています。「われわれは特定の米個人に対し、一つの中国政策に真摯に従うよう促す。国際関係の基本的規律に反するいかなる行動も控えるよう」と発言しました。同報道官はマッカーシー氏を名指しはしなかったものの、同氏の台湾訪問計画を伝える先週の報道に関する質問に答えての発言でした。昨年ペロシ前下院議長が中国の度重なる警告にもかかわらず台湾を訪問し、米中間に緊張が高まったことは記憶に新しいところです。中国はまた、海警局が日本の船舶に尖閣諸島周辺の海域には入らないよう警告しています。海警局は声明で、「日本の船舶が尖閣諸島周辺の海域に入らないよう強く求めるとともに、日本は尖閣諸島を巡り発言する権利はない」としています。
本日のドル円は129円~131円程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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