存在感増す高配当株、株主還元強化期待の三住トラストに関心

世界景気の先行き不透明感を背景に全般相場が波乱含みの展開となる中、存在感を増すのが高配当株だ。中でも金融株は、今後は日銀金融政策の正常化の「追い風」も見込まれる。継続的な配当引き上げに取り組み、次期中期経営計画の発表を控える三井住友トラスト・ホールディングス(=三住トラスト)<8309.T>への関心が高まりそうだ。
<世界景気に不透明感、インカムゲインに脚光>
FRB(米連邦準備制度理事会)による大幅利上げでインフレが鎮静化しつつある一方で、金融引き締めの長期化が景気後退懸念につながっている。中国はゼロコロナ政策を転換したものの、ロックダウン(都市封鎖)のダメージが依然残る。また、成長をけん引してきたグローバル不動産市場も不透明感がくすぶる。
世界景気の減速は企業の業績に影を落とし、株式市場では株価の上昇に伴うキャピタルゲイン(売却益)が見込みにくくなる。そうした際に見直されるのがインカムゲイン(配当収益)だ。
<NISAの大幅拡充控える>
来年1月からはNISA(少額投資非課税制度)が大幅に拡充され、投資期間が限定されている(ロールオーバーは可能)、非課税枠が小さい、投資枠の再利用ができないといった現制度の欠点の改善が予定されている。投資期間が恒久化されるとともに、投資枠は年間360万円(うち120万円は積み立て枠、従来は160万円)に広がり、売却枠の再利用も可能だ。
生涯非課税限度額は1,800万円(従来1,400万円)に増え、新たなNISAをベースにした長期投資が可能になる。配当金に対する税率は、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)だが、NISAを活用すれば非課税となる。投資枠が増えるとともに制度が継続して使えるため、長期投資の基本となる高配当株に資金を振り分ける動きが予想される。
ただ、高配当株への投資で注意する必要があるのは減配リスクだ。業績が好調な時は配当が高水準であっても、業績悪化で即減配となるようでは、長期投資には向かない。配当利回りが高く、配当を引き上げる傾向が強い銘柄がターゲットとして浮上する。
<三住トラストの今3月期の配当予想は200円、株価急伸後も高い利回り>
三住トラストの2023年3月期の年間配当予想は200円(中間、期末ともに100円、前期170円)。2011年に経営統合で発足して以降も継続的な増配に取り組んできた。2012年3月期には年間配当予想は85円だったが、今期は2倍以上の水準を見込む。
三住トラストの予想配当利回りは4.24%(2月1日時点)。金融株は日銀の金融緩和策の修正を受けて株価が急伸したが、その中でもまだ高い利回りを保っている。今期の連結配当性向は38.7%だが、株主利益還元策として、今期をメドに40%程度への引上げを目指す。今後発表が予定される策定中の次期中期経営計画においても、利益成長とともに株主還元の強化が期待される。
業績も堅調だ。本業の収益を表す実質業務純益は上期に1,682億円(前年同期は1,744億円)だった。前年同期の市況要因による収益押し上げの反動で減益となってはいるが、計画(1,450億円)を上回った。純利益は通期で1,900億円(前期比12.4%増)を見込むが、上期時点での進ちょく率は54%と順調だ。
金融株の事業環境も改善する可能性がある。日銀は昨年12月の金融政策決定会合において、長期金利(新発10年国債利回り)の上限をこれまでの0.25%程度から0.5%程度まで拡大した。今年1月会合では現状の大規模金融緩和策が据え置かれたが、将来的にはYCC(=イールドカーブコントロール、長短金利操作)の撤廃とマイナス金利からの脱却が進むとの見方が根強い。4月の次期日銀総裁の就任とともに、金融政策の正常化が進めば、金利上昇とともに金融株の利ザヤ改善が見込まれる。
(写真:123RF)
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