<新興国eye>チェコ中銀、賛成多数で金利据え置き―2委員は0.5ポイントの利上げを主張

新興国

2023/2/6 9:21

 チェコ国立銀行(中銀)は先週(2日)の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、政策金利の2週間物レポ金利を7%に据え置くことを5対2の賛成多数で決めた。2委員は0.5ポイントの利上げを主張し、反対票を投じた。据え置きは市場の予想通りだった。

 中銀は最近のインフレ加速を受け、21年6月会合で20年2月以来、1年4カ月ぶりに利上げを再開。22年に入っても2、3、5月にそれぞれ0.75、0.50、0.75ポイント引き上げ、6月会合では1.25ポイントの大幅利上げを決めた。利上げ幅が計6.75ポイントに達したことから8月会合で据え置きに転じ、利上げサイクルは9会合連続で止まった。これで金利据え置きは5会合連続。7.00%の政策金利は90年4月9日(7.25%)以来33年ぶりの高水準となっている。

 中銀は会合後に発表した声明文で、据え置きを決めたことについて、前回12月会合時と同様、「政策金利水準は国内需要を弱める(高い)水準にあり、家計部門や企業への貸し付けの伸びを鈍化させ、経済のマネーサプライ(通貨供給量)の伸びも鈍化させている」とし、これまでの利上げ効果を見守りたい考えを示した。また、最新の2月経済予測でインフレが今後、急速に伸びが鈍化する見通しであることも据え置きの決定に寄与した。

 インフレ見通しについて、中銀は、「1月は政府の電気料金の高騰を抑える支援措置が12月末で切れたため、インフレ率が加速するが、春以降、比較的急速に低下し、今年下期には前年比10%上昇を下回る。24年上期には物価目標(2%上昇)に接近する」と予想している。中銀の最新の経済予測によると、1月は前年比17.6%上昇と、12月の同15.8%上昇を一時的に上回るが、2月は同16.5%上昇、3月は同14.8%上昇と低下、また、23年は同10.8%上昇と、22年の同15.1%上昇から急低下し、24年は同2.1%上昇になると予想している。

 今後の金融政策の見通しについて、中銀は前回会合時と同様、「物価の長期安定は、適度な賃金上げ要求と責任のある財政政策にかかっている」とした上で、「(次回会合時までに入ってくる)新しい経済データと最新の2月経済見通しに基づいて、次の会合で金利を据え置くか、引き上げるかを決定する」とし、将来の引き上げには(予断を持たず)オープンなスタンスを維持する考えを示した。

 また、中銀は、「もし、(需要拡大によって引き起こされる、いわゆる)デマンドプルのインフレ上振れリスクが高まった場合、中銀は金利を引き上げる用意がある」としている。しかし、中銀は前回会合時と同様、「インフレが十分に抑制されるまで、つまり2%上昇の物価目標で安定するまで、インフレとの戦いを続ける。これは金利がしばらくの間、比較的高いままであることを意味する」とも述べており、現在の高い水準で金利が当分の間、据え置かれる見通しを示唆している。

 さらに、中銀は通貨コルナ安がインフレを加速させるとし、これまで頻繁にコロナ安阻止の市場介入を実施しているが、今回の声明文でも、「コルナの過度の変動(特にコロナ安)を防止し続ける」とし、為替介入戦略を変更しない考えを改めて強調した。

 次回の会合は3月29日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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