<新興国eye>トルコ1月CPI、前年比57.68%上昇に減速―今後も減速続く見通し(1)

新興国

2023/2/8 9:09

 トルコ統計局が先週末(3日)発表した1月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比57.68%上昇と、前月(12月)の同64.27%上昇や11月の同84.39%上昇を下回り、24年ぶりの高い伸びとなった10月の同85.51%上昇をピークに3カ月連続で減速、22年2月(54.44%上昇)以来11カ月ぶりの低い伸びとなった。ただ、市場予想(53.26-53.50%上昇)を上回った。

 前年比の伸び率が減速したのは、エネルギーや食品の価格の伸びが減速したことに加え、前年同期のインフレ率が高かったため、低目の数値が出る、いわゆるベース効果によることが大きい。1年前(22年1月)のインフレ率は48.69%上昇と、その1年前(21年1月)の14.97%上昇から急加速している。また、トルコのエネルギー輸入価格、特に天然ガス価格はロシアのウクライナ侵攻で急騰したあと、22年初めの水準にまで下落している。

 市場では今後のインフレ率はベース効果により、伸びが減速し続けると予想している。ちなみに、中銀が1月26日に発表した最新の四半期インフレ報告書では23年末時点の見通しは22.3%上昇、24年末時点は8.8%上昇、25年末時点は5.0%上昇と、予想、3カ月前の前回10月予想を据え置いている。また、政府の新中期3カ年経済計画でも23年末時点は24.9%上昇、24年末時点は13.8%上昇、25年末時点は9.9%上昇を予想している。

 同国のCPI伸び率はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、インフレ率は21年6月(前年比17.53%上昇)以降、22年10月まで17カ月連続で急加速した。しかし、同11月にようやく1年6カ月ぶりに伸びが減速に転じている。

 対照的に、1月CPIの前月比は6.65%上昇と、12月の1.18上昇や11月の2.88%上昇を上回り、3カ月ぶりに伸びが急加速、市場予想(3.8%上昇)を上回り、22年4月の7.25%上昇以来、10カ月ぶりの高い伸びとなった。市場では新年恒例の公共交通料金やたばこ、食品、サービスなどの料金の一斉値上げが影響したと見ている。

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上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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