海外株式見通し=米国、香港
【米国株】20年代後半に世界3位の経済大国へ、インド関連に注目

インド株が投資家から熱い注目を浴びている。同国は昨年末に中国を抜き人口世界一になったとみられる。平均年齢は中国の38歳に対し28歳と若く、総人口に占める生産年齢人口の割合が上昇する「人口ボーナス」期を長く享受できる構造だ。IMF(国際通貨基金)は2020年代後半にも、名目GDP(国内総生産)が日本とドイツを上回る世界3位に躍り出ると予想する。
インドのモディ政権は「デジタル・インディア」と呼ばれるデジタル化政策を掲げている。インド版のマイナンバー(社会保障・税番号)カード「アドハー」を基に本人確認が容易なITインフラのプラットフォームを整備。人口14億人超のうち約8億人がスマートフォンを持つことから、キャッシュレス決済の拡大とEC(=Eコマース、電子商取引)比率の上昇が見込まれる。
また、政府は今月1日に発表した23年度予算案に、前年度当初比3割強増のインフラ整備などの資本支出を計上した。所得税の減税対象は中間層の一部にも広げる方針だ。
主要先進国の企業がロシアからの撤退を余儀なくされる中、インドはロシアへの協調制裁に加わっていない。このため、西側諸国に代わってロシア市場での売上を伸ばすことで業績を押し上げている企業もある。また、ロシアから割安な原油を輸入しインド国内で精製した上で、一部を欧州に輸出して利益を得る動きもある。
米中対立の地政学リスクに絡んでも、インドを世界戦略のために活用する動きが出始めた。アップルはインドへの大規模投資を表明し、関連する部品メーカーが現地に進出しつつある。台湾の鴻海精密工業も同様だ。
一方で、モディ政権とも密接な関係がある、インド有数の新興財閥のアダニ・グループが株価操作や不正会計で米投資会社から告発されている。世界の投資家にとって、インドへの本格投資へ向けた課題を映した。ともあれ、ソフトウエア受託製造のインフォシスやITのウィプロといったインド企業のADR(米国預託証券)株式の動向が注目される。
【香港株】高配当利回り中国銀行株―CIPS拡大とG-SIBs
ウクライナ侵攻への制裁として、欧米や日本はロシアの金融機関を国際的な決済ネットワークである「SWIFT」から締め出している。こうした中、中国が人民元の国際化に向けて拡大を目指す「CIPS」の利用が増えている。
CIPSは、中国独自の決済ネットワーク。経済制裁をきっかけに、ロシアがそれまで欧州に売っていた石油を中国に売るようになったことも利用拡大の背景にあるとみられる。
この決済頻度と金額の増加に伴い、人民元を国際間の決済で使う上で中国国債を買い付ける場面が増え、政府が保有する外貨準備における人民元の比率も増えることで人民元の買い材料となり得よう。中国国債は米国債と比べて利回りの変動性が小さく、決済準備・外貨準備の点では魅力がある。
FSB(金融安定理事会)が世界的な金融システムの安定に欠かせないと認定した銀行である「G-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)」の中で、追加的自己資本のバッファ(緩衝材)を求められる度合いによるランクで、中国工商銀行と中国銀行の2行が中国の銀行の中で上から4番目の「Bucket2」に選ばれている。同ランクの金融機関は日本では三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の1行だけだ。
中国工商銀行は中国最大の国営商業銀行であり海外事業の拡大にも積極的。これに対し中国銀行は総資産で国内4位の規模ながら長らく外国為替専門銀行として役割を担い、外為業務に強みを有する。貿易決済業務では国内最大手であり、人民元の国際決済ネットワークを活性化するためには重要な位置付けと言える。2月20日終値ベースの予想配当利回りは、中国工商銀行が8.52%、中国銀行が8.77%。
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(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
(写真:123RF)
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