CS信用不安で株価急落、再びリスクオフ広がる

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2023/3/16 8:09

 信用不安の波が欧州に押し寄せ、折から懸念されてきたスイスの金融大手クレディ・スイス(CS)グループの経営状態が改めて市場に不安をもたらしている。筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンク(SNB)の首脳が追加投資の可能性を否定したことで、CSの株価は15日のチューリッヒ市場で一時前日比で30%下落し上場来安値を更新。同社の社債の保証料も深刻な水準へ跳ね上がり、同日の世界のマーケットではリスクオフの動きが加速した。

警戒感波及、NYダウ一時725ドル安

 CSグループは14日に、2021~22年の財務報告の内部管理に「重大な弱点」があったことを22年度の年次報告書で明らかにした。一方、同社のアクセル・レーマン会長による、政府の支援は議題になっていないとするコメントも報じられていた。

 ただ、米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破たんで神経質になっている市場は警戒感を強める。SNBがCSへのさらなる支援に乗り出す考えがないことが分かると、そうした動きは一段と強まった。

 15日の欧州の主要株式指数は英FTSE100が3.8%、仏CAC40が3.6%、独DAXが3.3%それぞれ下落。米国市場も流れを引き継ぎ、NYダウが一時725ドル値下がりした(大引けは280ドル<0.9%>安の3万1874ドル)。

米利上げ厳しくグロース追い風も

 ただ、中央銀行のスイス国立銀行は、「CSはシステム上重要な銀行に対する資本や流動性の要件を満たしている」との声明を打ち出し、市場に冷静になるよう呼び掛けた。必要な場合は流動性を供給するという。

 きょう16日の東京市場も信用不安の余波を受ける可能性が高い。一方、15日に発表された米2月PPI(生産者物価指数)が市場予想を下回り、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での大幅利上げの確度はいっそう薄れた格好。ハイテク株の多い米ナスダック総合指数は小幅ながら逆行高となった。こうしたことから、日本でもグロース(成長)株の一角が気を吐く可能性がある。

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