【為替本日の注目点】ドル円131円台から133円台と乱高下

ひと目でわかる昨晩の動き
NY市場
ドル円はNYの朝方に131円72銭前後まで売られたが、その後米金利の上昇に133円台後半まで上昇するなど、荒っぽい動きが続く。ユーロドルはECBが0.5ポイントの利上げを決めたことで底堅く推移。株式市場は3指数が揃って大きく上昇。スイス中銀がクレディスイスに最大7兆円の支援を決めたことなどが材料に。債券は大きく売られ、長期金利は3.57%台に上昇。金は反落し、原油は小幅に上昇。
マーケット情報
新規失業保険申請件数 → 19.2万件
2月輸入物価指数 → -0.1%
2月輸出物価指数 → 0.2%
2月住宅着工件数 → 145.0万件
2月建設許可件数 → 152.4万件
3月フィラデルフィア連銀景況指数 → -23.2
ドル/円 131.72 ~ 133.82
ユーロ/ドル 1.0552 ~ 1.0627
ユーロ/円 139.11 ~ 142.80
NYダウ +371.98 → 32,246.55ドル
GOLD -8.30 → 1,923.00ドル
WTI +0.74 → 68.35ドル
米10年国債 +0.122 → 3.577%
本日の注目イベント
欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)
欧 OECD経済見通し
米 2月鉱工業生産
米 2月設備稼働率
米 2月景気先行総合指数
米 3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
ドル円は荒っぽい動きが続いています。NYではこれまでサポートと見られていた132円20銭辺りが下抜けすると、ドル円は131円70銭台まで売られましたが、その後は大きく反発し、何と、133円82銭辺りまで上昇するなど、なかなか落ち着き所が見つけにくい動きが続いています。
131円台後半まで売られたドル円が値を戻したのは、米長期金利が大きく上昇したことが一因です。今週に入っては「リスクオフ」の流れが加速し、金利が大きく低下しましたが、その「リスクオフ」が少しでも和らぐと債券は売られ、金利は急上昇します。連日10~20ベーシスポイントも上下するなど、通常の何倍もの値動きです。投機的な取引が全体を支配していることの裏返しと見られますが、昨日はクレディスイスへの資金供給や、資金流出が続いていた米ファースト・リパブリックバンクへの複数銀行による預金預け入れが決まったことなどが緊張緩和につながっています。また、ECBが理事会で政策金利を0.5ポイント引き上げることを決定したことも、米債券売りにつながった面もありそうです。
ECBは0.25ポイントの利上げに収めると見込んでいましたが、0.5ポイントの利上げ決定は「インフレ抑制」を優先した結果かと思われます。クレディスイス問題が表面化し、「金融システムの安定かインフレ阻止か」との選択でしたが、ECBは後者を採択し、銀行の混乱には触れていません。ラガルド総裁は、政策発表後の記者会見で次の動きに関する質問に、「現時点で決定することは不可能だ」と答え、「われわれが想定する基本シナリオが確認され、それが持続するならば、さらなる行動が必要だ」と述べるにとどめています。金融機関の健全性についてラガルド氏は、「銀行セクターは2008年に比べてはるかに堅固な状態にある」と述べ、リーマン・ショック時に比べ、セーフティ・ネットなどの安全性がはるかに高まっていると説明しています。
金融機関の混乱が続くなか、ECBがインフレ抑制を優先し、0.5ポイントの利上げを決めたことで、来週のFRBの政策決定にも影響を及ぼす可能性はありますが、現時点では会合での大幅利上げの可能性は低いようです。多くの米金融機関が来週のFOMC会合での利上げ見送りを予想する中、JPモルガンアセットも、同様に「見送り」を予想しています。その理由として、「長期にわたって変動し、累積かつ遅れて表れる影響が市場にさらに波及するだろう。これは氷山の一角だと思う」、「今後、さらに多くの整理が行われ、もっと多くの痛みが生じる」(同社、マイケルCIO)とし、FRBは金融の安定を最優先課題にすべきだと語っています。
混乱が続いているクレディスイスを巡っては、スイス金融当局は同国最大手のUBSとの統合を狙っているようですが、UBS側は「強制的な統合」には反対しているようです。また資金流出が続いているファースト・リパブリックバンクについては、バンク・オブ・アメリカやシティなど大手行が、財務の安定化を図る米政府の要請で、300億ドル(約4兆円)を同行に預け、流動性を確保する見通しです。
130-135円のレンジ内で推移しているドル円ですが、なかなか明確な方向性を見いだせません。この動きは為替に限らず、株、債券でも同様です。来週のFOMCでは「据え置きか、0.25か」との選択かと思いますが、筆者は0.25にやや分があると考えています。米金利が急激に低下しており、利上げをし易いという環境になってきたことと、米金融機関の混乱はそう長くは続かないと見ているからです。インフレ抑制を後回しにし、その後インフレが再燃した際の経済的損出の方が、足下の金融不安の拡大によるものよりも大きいと予想しています。
本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

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