米2月中古住宅販売件数、前月比14.5%増の年率458万件―市場予想上回る

経済

2023/3/22 10:48

<チェックポイント>

●13カ月ぶりに増加、22年9月以来の高水準に

●住宅価格は8カ月ぶりに上昇

●2月急増は一過性と予想―住宅ローンの再上昇や信用不安が影を落とす

 NAR(全米不動産業協会)が21日に発表した2月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比14.5%増の年率換算458万件と13カ月ぶりに増加に転じ、22年9月の468万件以来5カ月ぶりの高水準となり、市場予想の平均値である420万件も上回った。ただ、季節要因を無視できる前年比は22.6%減と19カ月連続で前年水準を下回った。

 住宅供給の過不足感を示す未販売住宅(在庫)は前月比横ばいの98万件、2月の販売ペースで換算した在庫水準は2.6カ月分となり、22年4月以来の低水準となった。住宅の販売ペースを見ると、販売物件が2月中に市場に残っていた期間は34日間と、前月の33日間や1年前の18日間を上回った。また、2月中に販売された物件のうち、全体の57%が市場に出てから1カ月弱で販売されている。

 2月の住宅価格(中央値)は前月比0.5%上昇の36万3000ドルと、8カ月ぶりに上昇に転じた。格安なフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)物件やショートセールズ(フォークロージャー手続きに進む前の早い段階で債務者と債権者が協議して住宅を任意売却)物件などのディストレスト物件の供給が細っており、住宅価格が下がりにくい要因となっている。

 手ごろな価格帯の住宅供給が不足していることから、2月の新規住宅取得者の比率は27%と、前月の31%や1年前の29%を下回った。

 住宅ローン金利はフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の30年固定金利の平均約定金利でみると、直近の3月16日時点では6.6%と、前週の6.73%を下回ったが、1年前の4.16%上昇を大きく上回り、依然高水準だ。このため、ローンを回避する現金購入者の比率が2月は28%と、1月の29%をやや下回ったが、1年前の25%を上回っている。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、2月統計が大幅増となったことについて、住宅ローン金利の低下が販売増の要因としている。住宅ローン金利はフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の30年固定金利の平均約定金利でみると、直近の3月16日時点では6.6%と、前週の6.73%を下回った。

 ただ、今後の見通しについては、住宅ローン金利が低下するタイミングで住宅販売が急増する可能性があるものの、深刻な住宅在庫不足に加え、住宅ローン金利は3月以降、再び上昇傾向にあること、さらには景気の先行き不透明なこと、最近の金融不安を受け、住宅ローンの審査基準が厳しくなる可能性などを考えると、2月の好調な住宅販売は一過性で終わる可能性が高いとの見方がある。

提供:ウエルスアドバイザー社

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