FOMC、0.25ポイント利上げ―次回5月会合で利上げ停止を示唆
2023/3/23 9:55
<チェックポイント>
●9会合連続で利上げ、信用不安よりもインフレ退治を優先
●深刻な信用不安が長引くなら政策決定に織り込むと指摘
●FRBは24年から利下げを予想
FRB(米連邦準備制度理事会)は22日のFOMC(公開市場委員会)会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、4.75-5.00%とすることを全員一致で決めた。
利上げは9会合連続。0.25ポイントの利上げは2会合連続で、市場予想通りだった。市中銀行がFRBに預け入れることを義務付けている準備預金の預入額に付与する金利も同率引き上げ、4.90%とした。
市場が注目していた、今後の金融政策のフォワードガイダンス(金融政策の指針)について、前回の「FF金利の誘導目標の継続的な引き上げが適切」から「追加の金融引き締めが適切」に変わり、利上げサイクルの終了が近づいたことを示唆している。パウエルFRB議長も会見で、「信用不安が金融引き締めにつながる可能性が高い」との見方を示し、利下げサイクルが終了に近づく可能性を認めている。
また、最近の信用不安について、FRBは声明文で、「米国の銀行システムは健全で回復力がある」としたが、「家計や企業の信用状況が引き締まり、経済活動や雇用、インフレの重しとなる可能性が高い」と懸念を示した。パウエル議長は会見で、利上げの一時停止を検討したことを明らかにしたが、インフレ退治を優先して利上げを決定したとしているが、深刻な信用不安が長引くようなら、「政策決定に織り込むことになる」とし、利上げ継続の長期化に懐疑的な見方を示している。
最新の3月経済予測では、FF金利の見通し(政策金利のレンジ予想の中心値)が23年に5.1%と据え置かれたため、年内はあと1回の利上げを見込んでいることになる。24年は4.3%(前回予測は4.1%)、25年は3.1%(同3.1%)と予想している。インフレ圧力を高めることなく安定成長を可能にする短期金利の水準で、金融政策が目指すべきといわれる中立金利(政策金利の長期予測)も2.50%に据え置かれた。
さらに、18人のFOMC委員による金利予測を示す「ドット・チャート」では、23年の政策金利を5.00-5.25%と予想したのが10人と最も多く、これがFRBの利上げサイクルの最終金利水準となっている。次いで5.25-6.00%が7人で、年末までにあと2回の利上げを予想している。
FRBは経済予測で24年までにインフレが減速すると予想しているため、24年に利下げする可能性があると見ている。実際、ドットプロットでも24年は4.00-4.25%が5人と、最も多く、4.00-4.75%の予想が計10人と、大半を占め、24年以降、金利水準が緩和(利下げ)方向にシフトしている。
このほか、GDP(国内総生産)伸び率の見通しについては23年に0.4%増(前回予測は0.5%増)、24年に1.2%増(同1.6%増)、25年に1.9%増(同1.8%増)と、23年と24年が前回予想から下方修正された。
失業率は23年が4.5%(前回予測は4.6%)、24年は4.6%(同4.6%)、25年は4.6%(同4.5%)と、23年と25年が引き上げられた。市場ではリセッションの到来を予想させると懸念している。
PCE(個人消費支出)物価指数でみたインフレ率は、23年のコア指数が3.6%上昇(前回予測は3.5%上昇)、24年が2.6%上昇(同2.5%上昇)、25年が2.1%上昇(同2.1%上昇)と、23-24年の予想が引き上げられた。全体指数は23年が3.3%上昇(同3.1%上昇)、24年は2.5%上昇(同2.5%上昇)、25年は2.1%上昇(同2.1%上昇)と、23年だけが引き上げられた。
次回会合は5月2-3日に開かれる予定。
提供:ウエルスアドバイザー社
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