Jフロンティ、オンライン診療の巨大市場取り込む
2023/3/24 12:00

ジェイフロンティア(=Jフロンティ、2934)はオンラインでの病院予約から、診療や服薬指導、処方薬の宅送までをワンストップで提供するプラットフォームが勢いを増している。今5月期末には会員数が100万人を大きく上回る見通しで、来期は黒字化が視野に入る。同社の中村篤弘社長=写真=は、同サービスにおける手数料以外の収益機会もうかがい、広告投資を続けつつも早期の収益化を図る考えだ。
「SOKUYAKU」利用者急増、来期黒字化視野に
同社は主力事業の医薬品や健康食品の通信販売に加え、ここ数年はヘルスケアのオンラインプラットフォーム「SOKUYAKU(ソクヤク)」を推進している。スマートフォンなどからオンライン診療に対応する病院・クリニックを検索して予約し、医師や薬剤師とのビデオチャットを利用できる仕組み。また、最短で当日中に薬が自宅に届くサービスだ。
医院検索から薬の受け取りまでの「完了率」は約95%と高く、同指標は顧客満足度と類似する。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに普及し始めたオンライン診療の需要をとらえ、会員数は昨年11月末時点で83.1万人に上る。同5月末比で約2.8倍に拡大した。
こうした利用者の急増は、今期から戦略的に投下している地上波コマーシャルなどの広告の成果でもある。中村社長によれば、「足元でも高い会員数の伸びが続いている」といい、今期末には1年前の4~5倍に相当する130万人前後に達すると株式新聞Webは予想する。
現在は先行投資の負担が重く、今期の連結営業損益の見通しは20億円の赤字(前期は7億円の黒字)だ。広告費はソクヤクの16億円弱に加え、通販のD2C事業でも約13億円を計画し、合わせて売上高(167億円、前期比40%増)の17%を占める。広告投資をしなかった場合の営業損益の会社試算は、10億円程度の黒字とみられる。
収益源多様化へ、中計達成目指す
シェア獲得へ向けて、広告費は来期も高い水準を維持する方針。一方、トップラインの成長により売上対比では低下する公算だ。また、「ソクヤクで提携する医院からも、何らかの形で料金を徴収することを検討している」(中村社長)。
ソクヤクは現状、利用する患者の手数料(オンライン診療・服薬指導1回当たり各150円)が収益源。一方で、病院やクリニックには初期費用も含めてプラットフォームを無償で提供し、予約の確認などの業務のサポートも行っている。同社は中期的に、ソクヤクの活用頻度が高く、サービスを通じて一定の収益を得ている施設を中心に、運営コストの一部負担を求めていく構えだ。
日本では初診からのオンライン診療が、新型コロナが広がった2020年4月に当初の予定を前倒しして解禁され、その後22年に正式に制度化された。ただ、市場規模はまだ数百億円にとどまり、米国の3.2兆円や中国の1.3兆円とは比較にならないほど小さい。高齢化で医療費の増加が続く中、医師や薬剤師不足の深刻化も相まって大きな潜在需要が見込まれる。

Jフロンティは中期経営計画で、25年5月期に売上高300億円、営業利益25億円を目指している。今期の投資フェーズから来期は回収も並走し、ソクヤクの本格化によって最終年度に利益の大幅な飛躍を狙う。自治体向けの展開も強化するほか、薬の宅配と一緒に日用品を販売する取り組みも加速する方向だ。
株価は22年1月に付けた上場後の安値(1620円)を底に、下値を切り上げつつもみ合いが続いている。ただ、今後は中計で示された業績成長ビジョンを、相場が本格的に意識していく段階を迎えそうだ。
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