【為替本日の注目点】ドル円、約6週間ぶりの円高水準に

為替

サーチナ

2023/3/24 10:00

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は上値を重くし、130円割れを試す展開が続く。昨日の東京時間午後には130円42銭までドルが売られ、約6週間ぶりの円高に。NYでも同水準を試したが跳ね返される。ユーロドルも底堅く推移。1.09台に乗せる場面もあったが、上値ではやや警戒感も。前日大きく売られた株式は、イエレン長官の発言もあり、3指数が揃って反発。S&P500は小幅高、ナスダックは117ポイント上昇。債券は続伸。長期金利は3.42%台に低下。金は大幅に続伸し、引け値で2000ドルに迫る。原油は4日ぶりに反落。

マーケット情報

新規失業保険申請件数 → 19.1万件

経常収支(10-12月) → -206.8b

2月新築住宅販売件数 → 64.0万戸

ドル/円 130.32 ~ 131.66

ユーロ/ドル 1.0825 ~ 1.0908

ユーロ/円 141.15 ~ 143.19

NYダウ +75.14 → 32,105.25ドル

GOLD +46.30 → 1,995.90ドル

WTI -0.94 → 69.96ドル

米10年国債 -0.070 → 3.427%

本日の注目イベント

日 2月消費者物価指数

独 2合PMI(速報値)

欧 3月製造業PMI(速報値)

欧 3月サービス業PMI(速報値)

欧 3月総合PMI(速報値)

英 3月製造業PMI(速報値)

英 3月サービス業PMI(速報値)

英 2月小売売上高

米 3月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)

米 3月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)

米 3月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)

米 2月耐久財受注

米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演

 前日のFOMC会合で、予想通りインフレ抑制を優先する形で0.25ポイントの利上げを決めました。パウエル議長は会見で、「利上げの一時停止も検討した」と述べましたが、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻については、「米銀行システムは健全かつ強靭で、金融システムに十分な資本があり、流動性は潤沢だ」と語っていました。また、FRBとして銀行システムの安全性と健全性、効率を維持するため、「われわれのツール全てを活用する」と説明しています。0.25ポイントの利上げと、パウエル議長のこの様な発言を受けて前日の金融市場では、株価が大きく売られ、同時に、売られると思っていた債券が買われ、金利が大きく低下。ドル円は金利低下に反応し、132円台前半から130円台後半まで売られ、その流れで昨日の東京時間でもドルの上値が抑えられた格好でした。

 もっとも、株価の大幅な下げは前日の上院での証言でイエレン財務長官が、「米国の銀行システムを安定させるために、全面的な預金保険を提供することを規制当局が検討していることはない」と発言したことが、トリガーとなった側面もありました。イエレン財務長官は昨日の下院での証言では、最近の政府の措置は「米国民の預金の安全性を確実にするために講じられた」と繰り返し述べましたが、その後に、「もちろん、正当化される場合は追加措置を講じる用意があるだろう」と説明しています。この発言から昨日のNY株式市場では、金融不安への懸念が依然としてくすぶりながらも株価の反発を誘っていました。

 結局、先週のECBの0.5ポイントの利上げを皮切りに、前日のFRB、昨日のBOEとスイス中銀、さらにはノルウェー中銀と台湾中銀も利上げを決めています。特にスイス中銀は、クレディスイスの経営危機問題がある中でも、0.5ポイントの利上げを決定し、今後の追加利上げの可能性も示唆しています。UBSによるクレディスイス買収を完了させたことで、ひとまず同国の信用不安は峠を越えたと判断した模様です。ここでもインフレ対応を優先させた形になっています。

 今後もFRBの金融政策の行方が大きな焦点であることは変わりません。今回の利上げで、「9会合連続」で利上げを決めたことになり、これでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.75~5.00%になりました。パウエル議長は会見でさらなる追加利上げの可能性にも言及していましたが、これまでの大幅な累積的な利上げでも、今後銀行システムの安全性には問題はなく、銀行危機をこれ以上深刻化させることはないといった自信を示したのかもしれません。一方で、今回も利上げに踏み切ったことで、米経済のリセッション入りの可能性はさらに高まってきたと予想されます。利上げを理由に買われてきたドル円が今後、利上げによる景気後退が本格化し、それを理由にドル売りが進むことも予想されます。先ずは130円台が維持されるのかどうかといった点と、もしその水準を割り込んだ場合、今年1月16日に記録した、今年のドルの最安値である127円22銭を下回るのかどうかが焦点になります。やや注目度が低下している「植田日銀」のYCC修正や金融政策の変更も春から夏場にかけては再びスポットライトを浴びることとなり、「円高要因」になると思われます。

 本日のドル円は129円50銭~131円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

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