<新興国eye>前週のインド株、銀行危機拡大懸念や国内の利上げ懸念を受け3週続落=BRICs市況

新興国

2023/3/27 8:59

 前週(20-24日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の24日終値は前日比0.69%安の5万7527.1、週間ベースでは17日終値比0.8%安と、3週続落した。

 週明け20日は指数が反落。翌21日は反発、22日まで続伸した。23日は反落。

 週前半は、スイス金融大手UBSが同業大手クレディ・スイスの買収で合意したものの、欧米の銀行危機が全世界に波及するとの懸念で、リスク選好投資が控えられ、売りが優勢となった。また、一時、不正会計問題で揺れた複合企業大手ゴータム・アダニ・グループの傘下企業も急落、下げを主導した。その後は、欧米の銀行危機懸念が緩和したことや、国内のインフレ率が今後数カ月減速するとの見通しを受け、追加利上げ懸念が後退、買いが優勢となった。財務省がインドの22年度GDP伸び率を7%増と、強気予想したことも好感された。また、世界最大の製油所を運用する複合企業大手リライアンス・インダストリーズが急騰、上げを主導した。原油安を受け、石油精製の利益率が改善するとの思惑や、ウィンドファール・タックス(臨時利得税)の撤廃が近づいたことが背景。

 週後半は、欧米の金融不安が後退、海外株高となったことを受け、インド市場でも買いが優勢となった。また、政府の財政支出がインフラ投資関連で拡大するとの観測で、銀行セクターが買われ、上げを主導した。その後は、FRB(米連邦準備制度理事会)が銀行危機の中で、利上げ継続のタカ派スタンスを維持したことが嫌気され、インドなど新興国からの資金流出懸念が強まり、売りが優勢となった。また、外国人投資家が売り越しとなったことも嫌気された。

 週末24日は続落。欧米市場が軟調となり、インド市場でも売りが一段と強まった。また、国内要因では23年金融法の改正でデット・ミューチュアルファンド(デットファンド)の長期キャピタル・ゲイン(譲渡益)税の優遇措置が4月1日以降、受けられなくなったことも嫌気された。

 今週(27-31日)のインド市場はウクライナ戦争と西側の対ロ制裁、原油価格の動向、世界経済、特に米・中・欧の景気動向や金融政策、米中関係、インド国内のインフレ動向、主要企業ニュース、欧米の金融不安の動向も注目される。主な経済指標の発表予定は31日の2月財政収支と2月インフラ部門生産高など。30日はヒンズー教の「ラーマ神誕生祭(ラム・ナバミ)」の祝日で休場となる。

<関連銘柄>

インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、インドベア<2047.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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