住信SBIネット銀行が株式上場・円山法昭社長に聞く

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2023/3/29 9:00

ネット銀行として日本初、今年世界初の銀行株IPO

 29日、住信SBIネット銀行(7163・スタンダード、銀行)が東証スタンダード市場に新規上場した。ネット銀行として日本初の株式公開であり、2023年世界初の銀行株のIPO(新規上場)となる。円山法昭社長=写真=に同社の強みと成長戦略などについて聞いた。

 ――デジタルバンク事業、BaaS(Banking as a Service)事業を展開。2022年12月末時点の預金残高は7.9兆円、口座数は590万を誇る。今後の見通しを教えてほしい。

 「2023年3月期の連結経常利益は前期比24.6%増の290億円を計画する。過去5年程度は先行的なシステム投資を優先させてきたことに加えてマイナス金利政策が導入された影響もあり、利益成長率が10%程度にとどまった。当社はその間、ビジネス改革を進めてきた経緯があり、現在は既に収穫期に入っている。来期以降も当面、20%以上の利益成長をできると考えている。中期経営計画で掲げている2025年3月期の経常利益400億円以上という目標も、確実に達成できるであろう、保守的な数値だ」

 ――米中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)の経営破たん、米国金利の上昇など、金融業界を取り巻く環境が大きく変化している。

 「流動性、評価損などのコントロールは正常にできている。当社のアセットの大半はデフォルト(債務不履行)リスクの低い住宅ローンであり、外部環境の変化に対する耐性を有している。今後の金利上昇局面は当社にとって大きなポジティブ要因になると期待しており、成長ピッチを加速させる要因になると考えている。見通しは明るい」

 ――厳しい市場環境下での株式公開となる。

 「前回の上場承認時(2022年2月)は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて金融市場が大混乱した時期であり、やむなく上場を延期した。今回もSVBの件が表面化している。現状、当社株は上場環境も影響して、あくまで銀行株としての評価にとどまっているが、BaaS事業はいわゆるSaaSビジネスであり、今後はテック企業としての評価も上乗せされると考える。将来的には、BaaS事業が全体の半分程度を占めるまでに成長すると考えており、これまでに種まきをしてきた新ビジネスも成長。銀行など金融領域の収益が2~3割まで低下する見通し。その時には当社株の評価が大きく変わっているはずだ」

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