【為替本日の注目点】WTI原油、大幅反発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は堅調く推移。東京時間に131円台を回復し、NYでは銀行株が買い戻され、米金利が上昇したことで131円75銭までドルが反発。ユーロドルは小幅に上昇し1.08近辺まで買われる。独ifo期待指数が上振れしたことや、欧州の銀行株が上昇したことが背景。株式市場はまちまち。ダウとS&P500は買われたが、ハイテク株の多いナスダックは下げる。債券は反落。長期金利は3.43%台へと大きく上昇。金は大幅続落。原油は3ドルを超える上昇。
マーケット情報
ドル/円 131.35 ~ 131.75
ユーロ/ドル 1.0768 ~ 1.0800
ユーロ/円 141.54 ~ 142.22
NYダウ +194.55 → 32,432.08ドル
GOLD -30.00 → 1,953.80ドル
WTI +3.55 → 72.81ドル
米10年国債 +0.154 → 3.530%
本日の注目イベント
豪 2月小売売上高
英 ベイリー・BOE総裁、シリコンバレー銀行(SVB)巡り証言
米 1月FHFA住宅価格指数
米 1月ケース・シラ-住宅価格指数
米 3月リッチモンド連銀製造業景況指数
米 3月コンファレンスボード消費者信頼感指数
先週末の欧州市場で129円65銭までドル売りが進み、1カ月半ぶりの安値を付けたドル円は大きく反発しました。東京時間でも底堅い動きを見せ、一時は131円台を回復し、NYでは131円75銭まで反発しました。ドルが売られ、円が買われた要因が「リスク回避」の流れにともなう「避難通貨」として選好されたことが挙げられることを考えれば、昨日は「リスクオン」の流れが優勢となり円が売られたのは当然と言えます。破綻したシリコンバレー銀行(SVB)を、米地銀ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズが買収することで合意したことが、リスクオンにつながり、この日は欧米の銀行株が大きく上昇していますSVBを買収する同行の株価も50%を超える大幅高だったようです。一方で、安全資産の米国債は大きく売られ、長期金利は先週末から15bpも上昇したことが、ドルを押し上げた格好です。
FRBで銀行監督を担当するバー副議長は本日開催される上院銀行委員会での証言で、「ここ数週間に発生した出来事は、進化するリスクと共に、特定の銀行問題が健全な銀行の信頼を損なわせ、銀行システム全体の安定性を脅かすことがないようにするには、何がさらに出来、何がなされるべきかという問題を投げかけている」と証言し、「銀行システムの状況を注意深く監視し続けるとともに、システムの安全性と健全性を維持するため、いかなる規模の機関に対しても必要ならあらゆる手段を活用する用意がある」と続ける模様です。(ブルームバーグ)米金融当局の迅速な対応とUBSによるクレディスイス買収でやや落ち着きを取り戻しつつある市場ですが、クレディスイスの発行した「AT1債」の価値がスイス当局の措置によってゼロになった影響は残っているようです。同債券は「永久債」として発行されることから、債券でありながら株式の側面もあります。金利が高目に設定されているため、ピムコなど多くの資産運用会社が同債券を組み入れていたことが判明しています。雪だるま式に肥大化する投資資金の運用先として、同債券が無くなることはないと思われますが、2008年の「リーマンショック」の引き金となったと言われる、「パリバショック」はリスクの高いサブプライムローンなどの混乱から価格が付けられず、資金を凍結したことから発生したことを想い出します。まだしばらくは「Cash is King」の運用方針は継続されそうです。
台湾の蔡英文総統が明日から中米グアテマラとベリーズを訪問し、その後マッカーシー米下院議長と会談する予定です。一方、馬英九前総統は27日に中国を訪問し、要人との会談が予定されており、台湾の現総統、前総統が同じタイミングで米中を訪問する異例の事態になっています。蔡氏は親米派で馬氏は親中派ということのようですが、台湾を巡る米中の関係にも影響を与えそうです。昨年8月のペロシ前下院議長の訪台もあり、このところの台湾は急速に米国に接近しているようです。
上値の重いドル円ですが、それでも先週の金曜日から今週の月曜日の2日間だけでも2円以上も反発する荒っぽい動きを見せています。動きは「米金利次第」というところでしょうが、その米金利が「リスクオン」か「リスクオフ」かで、大きく乱高下しています。まだドルの下げ余地があると考え、ドル売り水準を探るスタンスの方が有効かと思いますが、大きく下げたら拾うことも必要です。金融不安や信用不安から円買いと見る一方、地政学的リスクや貿易赤字・対外投資の面では円売りということでしょうか。
本日のドル円は130円~132円程度と予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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