拡大するDX市場、FCEは「RPAロボパット」で躍進=永田取締役に聞く
2023/4/17 8:50
FCE Holdings(9564)は、業績成長をけん引するDX(デジタルトランスフォーメーション)推進事業が勢いを増している。足元で顧客社数(ライセンスベース)が1000を突破した主力の「RPA Robo-Pat DX(RPAロボパット)」は、あらゆる業種で作業効率の改善に貢献。そのポテンシャルはまだまだ大きいと、同社の永田純一郎取締役(FCEプロセス&テクノロジー代表取締役)=写真=は話す。
利用者自ら創造、導入1000社突破
――RPAロボパットは、2017年10月にリリースされた純国産ツール。「RPA(ロボティックプロセスオートメーション)」とは、パソコン(PC)を用いる事務職などの知的業務を自動化するシステム。発売から5年のフシに当たる昨年10月、導入社数が1000に達した(同年末で1047)。
永田取締役(以下略)「強みの1つが操作性だ。ひと口に自動化といっても、組織や部門、個人によって細かく異なるカスタムが必要となる。『柔軟に設計できる』とうたったRPA商品は世に多いものの、実際には品質とのギャップが大きい。しかし、RPAロボパットは顧客視点の改良を重ねており、真の意味で利用者自らが創造できるツールとして支持されている。サブスクリプションで月12万円と料金体系も明確だ」
――単に仕事を効率化するだけではなく、ロボットを「創る」楽しさも味わえるところがRPAロボパットの真骨頂。ユーザーのモチベーションを引き出す。顧客は事務職にとどまらず、製造業のものづくり現場やEコマース(電子商取引)を含めた小売、さらには税理士などの士業にも及ぶ。また、従業員2人の零細企業から数万人の大企業まで、規模にかかわらず利用されている。しかし、永田取締役によれば優位性はこれだけではない。
「RPAは導入がゴールではなく、いかに使いこなすかが最も重要と言える。その点RPAロボパットは、顧客に追加の費用負担を求めずに運用を支援する。例えるならば、無料のパーソナルトレーナーが付いたジム。トレーニング器具を与えられるだけではパワーアップしない。こうしたコンサルティングの側面もFCEのDX事業の原動力だ。システムの商品力と両輪を併せ持つRPAのプレイヤーはそういないだろう」
手厚いサービス、垂直立ち上げで利益と両立
――操作性に優れ、サブスク料金以外のコストを伴わずにサポートしてもらえる――。そう聞くと、まるで「慈善事業」にも思えてくる同社のサービス。しかし、利益はしっかりと生み出しており、今9月期の連結営業利益は5.8億円(前期比27%増)を計画する。
「手厚いサービスを提供しつつも採算が取れる要因は、独自に構築した垂直立ち上げのノウハウによる『手離れ』の速さにある。顧客との契約から3カ月程度で(ユーザーの熟達を伴う)システムの本格稼働を可能にしている。顧客の早期自立を実現することで満足度も高まる。RPAロボパットの解約率は常に1%前後の低水準で推移している」
「営業面に関しても顧客による紹介ルートの強化が奏功している。特に士業は、同業のつながりに加えてクライアントを豊富に抱えているため効果的だ。また、このほどフローティングライセンス(注)を導入したが、IDの集約は予想していたほど起こらず、逆に同一顧客内でライセンスの付与数が増えるケースが目立つ。それだけRPAが多様な業務に浸透してきたということだろう。マーケットはこれからも大きく広がる」
注・ソフトのライセンスをPCごとではなく、サーバーにひも付ける許諾方式
――RPAロボパットとともにスタートしたFCEのDX推進事業は、同社の連結売上高のおよそ半分を占めるまでに拡大した。今後も同事業の比重は増えていく方向。新たな取り組みとしては、どのような準備を進めているのか。
「まだ具体的には話せない段階だが、『脱エクセル』をコンセプトとした新プランを進めている。エクセルはこれまで日本企業のビジネスの現場を支えてきた半面、今の時代となっては手作業の温床という負の側面もあらわになっている。RPAとセットで効率を上げていく余地は大きい。RPAロボパットとの連携だけではなく、独立した商品の投入も検討している」
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