市場平均を上回る株式型ファンドの割合、対「配当込み」では急減

投信

2023/4/21 7:49

 三井住友トラスト・アセットマネジメントは先日、運用するファンドで採用しているベンチマーク及び参考指数(以下、ベンチマーク等)を「配当を含まない指数」(以下「配当除く指数」)から「配当を含む指数」(以下「配当込み指数」)に変更すると発表した。対象となるファンドは、株式・リート等に投資するファンド(バランス型ファンド含む)で、今年半ばを目処に約款を変更し、約款変更後に作成するタイミングで順次、目論見書、運用報告書、月次レポート、販売用資料を変更する。

 ファンドの運用成果を検証する指標であるベンチマーク等を、ファンドの運用成果により近い「配当込み指数」に統一して、投資家本位で分かりやすい情報開示に繋げることが狙いだ。現状では、株式を投資対象とするファンドのベンチマーク等について、「配当込み指数」と「配当除く指数」が併存しており、ファンドは投資先資産からの配当を受け取るため、「配当除く指数」をベンチマークとした場合には、ファンドとベンチマークのパフォーマンスに配当金相当分の差が生じている。

 ベンチマーク等が配当を含むか否かということが、ファンドのパフォーマンスにどの程度影響するであろうか。ベンチマーク等の市場平均を上回るリターンの獲得を目指すアクティブファンドを例に検証した。

 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)のアクティブファンドの中から、国内株式ファンド、先進国株式ファンド、新興国株式ファンドを取り上げ、2023年3月末時点の過去10年間のトータルリターン(年率)が、各々の資産の代表的な株価指数(=市場平均、「配当除く」と「配当込み」)を上回ったファンドの割合を確認した。国内株式ファンドは弊社カテゴリー「国内大型ブレンド」、先進国株式ファンドは同「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」、新興国株式ファンドは同「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」に属するファンドとした。代表的な株価指数は国内株式が「TOPIX(東証株価指数)」、先進国株式が「MSCIコクサイ・インデックス」、新興国株式ファンドは「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」とした。

 国内株式ファンド、先進国株式ファンド、新興国株式ファンドの全てにおいて、「配当込み」を上回ったファンドの割合は、「配当除く」とした場合の割合から急減した。「配当込み」を上回った割合は、国内株式ファンドが18.2%(「配当除く」を上回った割合は87.3%)、先進国株式ファンドは3.6%(同17.9%)、新興国株式ファンドは25.8%(同75.8%)となった。ファンドによってベンチマーク等はさまざまであり、設定していないファンドもある。今回の検証では、TOPIXなど各資産を代表する株価指数を、各資産の統一的なベンチマーク(市場平均)として行ったが、「配当除く」と「配当込み」でこれだけの変化が見られる点には留意しておきたい。

提供:ウエルスアドバイザー社

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