米3月新築住宅販売件数、前月比9.6%増の68.3万戸―市場予想上回る

経済

2023/4/27 9:09

<チェックポイント>

●住宅価格は前月比3.8%上昇

●中古住宅の供給不足で住宅購入者が新築住宅にシフトか

●労働者の確保困難で依然供給不足

 米商務省が25日に発表した3月の新築住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比9.6%増の年率換算68万3000件となり、市場予想の平均値である63万2000件を上回った。2月分が64万件から62万3000件(前月比3.9%減)に下方改定されており、前月比では増加に転じた。前年比は3.4%減と13カ月連続で前年割れとなっている。

 3月が前月比で大幅増となった要因は、住宅ローン金利の高止まりを背景に中古住宅の供給が不足していることから住宅購入を希望する人が新築住宅にシフトしたとみられている。

 販売件数の内訳は、着工前時点での販売件数(バックログ)が前月比60%増の16万8000件と3カ月連続で増加した。完成件数や建築中件数が少ないため、バックログが増えている。実際、建築中の住宅販売件数は同0.7%減の26万9000件、完成住宅の販売件数も同0.4%減の24万6000件と、どちらも2カ月連続で減少している。

 住宅価格の中央値(季節調整前)は、前月比3.8%上昇の44万9800ドルと2カ月連続で上昇した。前年比は3.2%上昇となり、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が悪化した。

 販売価格帯は、40万ドル以上の高額物件の販売比率が60%に、40万ドル未満の手ごろ物件比率は39%(前月は40万ドル以上が60%、40万ドル未満が40%)と、ほぼ横ばいだった。

 住宅供給(在庫)をみると、3月の新築住宅在庫(季節調整値)は前月比0.5%減の43万2000件と5カ月連続で減少した。3月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準も7.6カ月相当と、前月の8.4カ月相当から低下した。

 住宅在庫のうち、すぐに販売できる完成件数は前月比同1.4%増の7万1000件と、12カ月連続で増加したが、在庫全体の16.4%と、まだ少ない。未着工件数も全体の21.8%(9万4000件)、建築中件数も全体の62%(26万7000件)と、依然、供給不足感が強い。労働者の確保が困難となっていることも背景。在庫全体では住宅バブル期の在庫水準(45万件)に近いが、フレディマックの調査によると、現在の住宅取得需要は依然強く、需要を満たすためには住宅供給は最大400万件不足していると試算されている。市場の一部では最大で500万件が不足しているとの見方もある。

 市場では、住宅ローン金利が低下すれば販売が伸びるとみている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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