(再送)<地味銘柄の大逆襲>低PBR・低ROEで好財務、収益成長性も備えた長府製に妙味

株式

2023/5/8 16:00

 低PBR(株価純資産倍率)企業による株主還元策の拡充が増えている。前々週には4月27日にJVCケンウッド (JVCKW)<6632.T>がさえない今24年3月期見通し(連結営業利益は前期比38.1%減)と同時に、発行済み株式の7%超を取得上限とする自社株買いを発表。中期計画での配当性向引き上げも打ち出し、翌日の株価は約18%上昇した。このように、今期の業績見通しがいまひとつでも、還元の強化に株価は反応を示しやすい。ただ、より長い観点に立てば、業績の伸びも視野に入る低PBR株で、増配や自社株買いが期待される銘柄がより魅力的だ。そこで今回は、長府製作所<5946.T>を取り上げたい。

 石油給湯器で国内トップクラスの同社は、業績がすこぶる好調だ。国内では高付加価値品の販売が増加する一方で、原材料の高騰分をしっかり価格転嫁できているため、今12月期も増収増益を予想している。さらに、脱炭素化で需要が膨らむヒートポンプ分野についても、長府製の熱源機は技術力の強みから商機が拡大。ウクライナ危機をきっかけに欧州での引き合いが増している。現在の円安・ユーロ高も追い風だ。また、米国などでも市場開拓が始まり、今後の業績に寄与しそうだ。

 財務面では、同社の自己資本比率は93%、有利子負債ゼロの好財務でPBRは0.6倍台にとどまる。資本効率を示すROE(自己資本利益率)は3.0%と低く、典型的な「低PBR・低ROE」銘柄に位置付けられる。好業績と好財務から還元余力とその必要性は大きく、今後の経営判断によって株価の居所を変える展開が意識される。

 5月1日には2473円の高値を付けたが、PBRが1倍を割り込んでいる以上、前述の期待値は織り込み途上と考えられる。海外市場の伸び代も大きく、業績の成長性も担保されている同社株は、3000円台を目指していく動きが想定される。株主還元が拡充されればより上の水準への到達も期待できそうだ。

 なお、株主還元の余力は多少落ちるかもしれないが、似たような切り口ではきんでん<1944.T>、日阪製作所<6247.T>、デンヨー<6517.T>、前澤化成工業<7925.T>、小松ウオール工業<7949.T>、天馬<7958.T>なども注目される。参考にされたい。

提供:ウエルスアドバイザー社

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