英中銀、政策金利を0.25ポイント引き上げ―2委員が据え置きを主張

経済

2023/5/12 9:10

<チェック・ポイント>

●据え置き主張の2委員は「外部ショック落ち着けばインフレは急激に減速」と主張

●BOE総裁、「金利水準は一段落すべき時期に近づいている」

●市場はあと1-2回の小幅利上げを予想

 BOE(イングランド銀行、英中銀)は11日、金融政策委員会(MPC)で政策金利を0.25ポイント引き上げ、4.50%とすると決定した。市場予想通りだった。前回同様、9人の委員のうち7人が支持し、残り2人は据え置きを主張した。

 利上げは12会合連続で、このうち0.25ポイントの利上げは2会合連続。それ以前の2会合は利上げ幅が0.5ポイントだった。

 追加利上げは食品やアパレル価格を中心にインフレが予想を上回って進んでいるためとしている。一方、据え置きを主張した2委員は、エネルギー価格の高騰などの外部ショックや他のコストプッシュ(インフレ)要因の影響が解消すればインフレの全体指数は急激に減速するとし、利上げの必要性を否定。また、利上げ効果の時間差により、これから過去の累積的な利上げ効果が現れ、その結果、インフレ率が物価目標を大幅に下回る弊害が高まるとも主張した。

 BOEは前回会合時で使った「必要に応じ、政策金利を調整する」との文言を残しており、追加利上げの可能性に含みを持たせた。市場では、あと1-2回の小幅利上げを実施すると予想。BOEのベイリー総裁は会見で、「金利水準は一段落すべき時期に近づいている」と述べている。

 最近の金融システム不安については、「これらのショックへの調整を続けながら、インフレ率が中期的に2%上昇の物価目標に持続的に戻ることを確実にする」とし、信用不安に配慮し、金利を据え置くよりもインフレ抑制を優先するとしている。

 BOEが今回の会合とともに発表した最新の5月経済予測では、政策金利が10-12月期に4.75%でピークに達するとして、前回2月予測時の4.5%から引き上げた。一方、26年には3.50%超と予想しており、その間に利下げが進む見通し。

 インフレ率の見通しは、23年で4%上昇から5%上昇に引き上げた。4-6月期は前年比8.2%上昇とみちるが、24年4-6月期は同3.4%上昇、25年4-6月期は同1.1%上昇、26年4-6月期は同1.2%上昇と予想し、25年から物価目標に収束すると見ている。

 GDP伸び率の見通しについては、1-3月期と4-6月期をいずれも前期比0.2%増と、前回予想時のマイナス成長から上方修正。23年のGDP伸び率も0.5%減から0.25%増、24年を0.25%減から0.75%増、25年を0.5%増から0.75%増にそれぞれ引き上げた。ベイリー総裁は会見で、「以前は長く浅いリセッション(景気低迷)を予想していたが、エネルギー価格が下落し、経済活動は予想よりも好調だ」とし、リセッションは回避できるとした。最新予測では23年4-6月期を前年比横ばい、24年4-6月期を同0.9%増、25年4-6月期を同0.7%増、26年4-6月期を同1.1%増と予想、24年から景気が回復するとみている。

 次回の会合は6月22日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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