<世界景気減速でも高成長期待株>芝浦機械、市場評価は爆上がり

株式

2023/5/24 16:30

 芝浦機械<6104.T>の大逆襲が始まった。海外のEV(電気自動車)需要の高まりを背景に、リチウムイオン電池向けセパレータフィルム(BSF)製造装置の引き合いが急速に拡大している。株価は足元で約5年ぶりの水準を回復したが、高い業績成長性に対して依然として割安圏にある。

―本紙<飛翔期待のお宝株>既報―

 15日に同社が発表した今3月期の見通しは、連結売上高1800億円(前期比46%増)、営業利益150億円(同2.6倍)、純利益180億円(同2.8倍)と驚異的な数字が並んだ。マーケットでは当然、見直し買いが殺到した。

 「<飛翔期待のお宝株>芝浦機械は豊富な受注で利益急拡大」(22日)の記事でも指摘したように、会社計画はなおも保守的と考えられる。それは、収益の基盤となる受注残高が、売上規模を大きく上回る2092億円(前期末時点、前々期末の約1.5倍)に膨らんでいるためだ。

 確かに前期の売上高(1232億円、前々期比14%増)は、前々期末の受注残高(1408億円)を下回っている。ただ、これには中国のゼロコロナ政策による検収遅延という理由があり、一過性のもの。そのあたりがスムーズになる今期は、高水準の受注残をこなせる環境と言えよう。

 同社はBSFの製造工程で、原料供給から巻き取り機、付帯装置までをフルラインで提供。電動車の世界販売台数が2030年に5500万台(21年比5.5倍)に増加すると予想される中で、今後は毎期1000億~1500億円の同装置の売上を見込んでいる。生産能力も現行の4ラインから6ラインに増強する計画だ。

―EV投資拡大に乗る、PER割安感顕著―

 一方、世界景気の先行きには暗雲が漂っている。しかし、ことEVに関しては、中国、米国などで基調が引き続き強く、日本でもトヨタ自動車<7203.T>やホンダ<7267.T>が投資を加速する。さらにはインドもポテンシャルが大きく、需要の拡大は長期的なトレンドになるとみられる。

 また、芝浦機械は「経営改革プラン」に基づき、高収益企業への変革を進めてきた。事業部制からカンパニー制へ移行し、成長分野への集中を推進。BSF装置の動向とともに、外国人投資家へのアピールポイントとなる。

 5月22日には決算説明会を開き、「今後の経営戦略について」と題する資料を公表した。アナリストたちの評価も上昇したとみられ、今後高水準の目標株価が各証券会社から打ち出される可能性がある。時価総額は1000億円超に増え、機関投資家の投資対象となるレベルになった。

 今期計画ベースのPERは、23日終値時点で約6倍。今期の1株利益予想には不動産売却益も含まれるが、それを差し引いても工作機械株の相対で割安だ。来期以降も利益の高成長が期待される中で、10倍台の評価を受ける資格は十分にあるだろう。今後どこまで大化けするのか、楽しみなところである。

提供:ウエルスアドバイザー社

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