【為替本日の注目点】6月会合での利上げを巡り意見分かれる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は140円台を回復する場面があったものの、買いは続かず上値の重い展開に。求人件数が上振れしたことで140円42銭までドル高が進んだが、FRB高官のハト派発言に139円台前半まで反落。ユーロドルは続落し、およそ2カ月ぶりに1.0635まで売られる。中国のPMIが予想を下回ったことが影響。株式市場では3指数とも売られる。ダウは3日続落となる134ドル安。債券は続伸。長期金利は3.64%台に低下。金は続伸。原油は続落し68ドル台に。こちらも中国の経済指標の低下が影響。
マーケット情報
5月シカゴ購買部協会景気指数 → 40.4
4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 1010.3万件
ドル/円 139.24 ~ 140.42
ユーロ/ドル 1.0635 ~ 1.0705
ユーロ/円 148.59 ~ 149.77
NYダウ -134.51 → 32,908.27ドル
GOLD +5.00 → 1,982.10ドル
WTI -1.37 → 68.09ドル
米10年国債 -0.044 → 3.643%
本日の注目イベント
中 5月財新製造業PMI
独 5月製造業PMI(改定値)
欧 5月製造業PMI(改定値)
欧 4月失業率
欧 ECB議事要旨(5月会合分)
米 5月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
米 5月ADP雇用者数
米 新規失業保険申請件数
米 5月ISM製造業景況指数
米 5月自動車販売台数
米 労働生産性(1-3月、確定値)
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、ウェビナーで講演
米債務上限の合意案を巡っては、共和党強硬派らが強く反対していることで採決に不透明感が漂うなか、共和党強硬派はマッカーシー下院議長の解任を求めることも辞さない構えを見せています。しかし、議長は脅しをはねつけた上で、「議会が法案を可決し、米国がデフォルトを回避できると確信している」と述べています。同法案は、米東部時間31日夜には可決する見込みのようで、可決後は上院に回され再び審議されることになりますが、「Xデー」が6月5日とみられていることから、厳しい状況が続いていることに変わりはなく、残された時間は限定的です。米財務省の発表によると、同省の現金残高は30日時点で374億ドル(約5兆2100億円)まで減少し、2017年以来の低水準を更新しています。バイデン大統領はコロラド州への訪問を前に、「計画通りに進んでいるようだ」と話し、共和党のエマー下院院内幹事はこれより先、「賛成票は確保した」と確信を示し、「法案は成立する」と述べています。一方、民主党のクラーク下院院内幹事は、「共和党が賛成票を確保したかどうかまだ分からない」と話しているとブルームバーグは伝えています。
ドル円は先週と打って変わって上値を徐々に重くしてきました。米金利の上昇がドルを支えて来ましたが、その金利が低下傾向を見せていることがドル売りを誘引している形です。昨日のNYでは4月の求人件数が予想外に増加しており、1010.3万件と3カ月ぶりの高水準だったことで発表直後、ドル円は140円台前半まで買われましたが、勢いはなく、その後はFOMCメンバーによるハト派寄りの発言に139円24銭までドル売りが進みました。昨日のコメントでも「ブラックアウト」前のFOMCメンバーの発言に注目したいと書きましたが、昨日の発言を経て、やはりメンバーの意見が分かれていることがあらためて確認されました。6月の会合では0.25ポイントの利上げが確実視されてはいますが、今週末の雇用統計と5月のCPIの結果いかんでは、「分からなくなる」可能性もありそうです。筆者は依然、利上げ見送りを予想しています。
ジェファーソンFRB理事は「次回会合で政策金利の据え置きを決定しても、今サイクルのピーク金利に達したと解釈すべきではない」と指摘し、「実際には、次回会合で利上げを見送ることは、追加引き締めの程度について決定する前に委員会がより多くのデータを見ることを可能にするだろう」と述べ、利上げ見送りを示唆しながらも、それが利上げの停止を意味するわけではないとしています。またフィラデルフィア連銀のハーカー総裁も、「一度様子を見ていいだろうと思う」と述べ、「6月会合では、私は利上げ見合わせを検討する陣営に確実に入っている」と、かなりハト派的な発言を行っています。一方、ボウマンFRB理事は、家賃の下落や不動産価格が横ばいで推移していることを例に挙げ、「これはインフレ率の低下を目指す当局の闘いに影響を及ぼし得る」と発言。ボストン連銀のコリンズ総裁も、「米金融当局は実に高すぎるインフレの抑制に努めている」と述べており、両総裁はニュートラルと見られます。ただ、FOMCメンバーではありませんが、ブラックロックのフィンクCEOは会合で、「インフレは依然として高過ぎであり、あまりに根強い。米金融当局の仕事はまだ終わっていない」と指摘しています。(ブルームバーグ)パウエル議長も先のイベントでは据え置きを示唆していました。まだ利上げの確率の方が高いと思われますが、今回はまさに「データ・ディペンデント」と言えるでしょう。
ドル円が円高方向に向きを変えてきたことで、クロス円も概ね下げてきました。昨年からの傾向とも言えますが、ドル円のボラティリティーが急速にあがっていることから、投機筋やディーラーがドル円の取引を増やしていると思われ、それがまたボラティリティー上昇につながっています。ユーロ円などのクロス円は、ほぼドル円の方向と一致しており、ドル円の動きをどのように読むのかにかかっています。
本日のドル円は138円50銭~140円30銭程度と予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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