<新興国eye>トルコ1-3月期GDP、予想上回る前年比4%増―個人消費と政府支出が寄与

新興国

2023/6/2 8:49

 トルコ統計局が5月31日発表した1-3月期GDP(国内総生産)伸び率(季節調整後、09年=100として)は前年比4.0%増と、前期(22年10-12月期)の3.5%増から3期ぶりに伸びが加速、22年4-6月期(7.8%増)以来の高い伸びとなった。個人消費が堅調を維持したことや、5月大統領選挙前の政府支出の拡大が寄与、市場予想(3.0-3.9%増)も上回った。ただ、22年全体の前年比5.6%増を下回っている。

 他方、前期比は0.3%増と、前期の0.9%増から伸びが鈍化した。市場では大震災(2月6日発生)の影響を受け、成長拡大の勢いが弱まったと見ているが、被災地の部分的な現地調査を反映、不透明になっているため、1-3月期GDP統計の数値は慎重に判断する必要があるとしている。

 1-3月期GDP伸び率の主な内訳は、GDPの約半分を占める家計最終消費支出(個人消費)が前年比16.2%増と、前期の同16.1%増から3期ぶりに伸びが加速、全体の伸びを押し上げた。11期連続のプラス。ただ、前期比では0.7%増と、前期の4.9%増から伸びが鈍化している。

 GDP押し上げ要因の輸出は前年比0.3%減と、2期連続で減少した。ただ、前期の3.3%減から減少幅は縮まった。輸出低迷について、ヌーレッディン・ネバティ財務相は欧米の銀行危機や世界景気の後退が背景にあると指摘している。一方、GDP押し下げ要因の輸入は同14.4%増と、前期の同10.2%増から6期連続で増加した。輸出の伸びが輸入を下回ったため、外需全体としてGDPの押し下げに寄与している。

 他方、総固定資本形成は同4.9%増と、2期連続の増加となり、前期の同2.6%増から伸びが加速した。政府最終消費支出も同5.3%増と、前期の同9.0%増を下回り、22年7-9月期(4.7%増)以来の低い伸びとなったが、政府支出の拡大がGDP全体の伸びを押し上げた。

 生産面で見た1-3月期GDP伸び率の主な内訳は、サービス業が前年比12.4%増(前期は同8.6%増)と、最も高い伸びとなった。次いで行政支援などの専門職サービスが同12.0%増(同9.1%増)、金融・保険業は同11.2%増(同13.4%増)、情報・通信業は同8.1%増(同5.2%増)、その他サービス業は同7.8%増(同6.2%増)、建設業は同5.1%増(同2.0%増)と、いずれもGDP伸び率(4.0%増)を上回った。このほか、公共行政・教育・医療・社会福祉は3.6%増(同4.7%増)、不動産業は同1.4%増(同4.8%増)。対照的に、農林水産業は同3.8%減(同0.3%減)と、最も低い伸びとなった。鉱工業は同0.7%減(同3%減)だったが、このうち、製造業は同1.6%増(同1.6%減)となっている。

 22年9月4日に政府が発表した新中期3カ年経済計画(23-25年)では、23年は5.0%増、24年と25年はいずれも5.5%増になると予想している。しかし、これは2月6日の大震災前の予測のため、市場では23年の成長率は大幅に減速、特に死者数が5万人を超えた今回の大震災の悪影響は製造業に強く及ぶと予想している。世銀が2月27日に発表した最新リポートでは、トルコの大震災による物的被害は最大342億ドル、復興費用はその2倍に達する見通しで、23年の成長率は従来予想の3.5-4.0%増から約0.5ポイント下方修正されるとしている。

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