<新興国eye>ポーランド中銀、予想通り金利据え置き―9会合連続

新興国

2023/6/7 8:51

 ポーランド中銀は6日の金融政策委員会で、これまでの積極的な利上げによる景気後退懸念に配慮し、主要政策金利の7日物レファレンス金利を6.75%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 また、中銀はロンバート金利と再割引金利、公定歩合、預金金利もそれぞれ7.25%、6.80%、6.85%、6.25%と、いずれも据え置いた。

 中銀はコロナ禍後のインフレ急加速を受け、21年10月会合で9年5カ月ぶりに利上げに転じ、22年9月会合まで計11会合連続で利上げを継続。利上げ幅が計6.65ポイントに達したことから、利上げの効果を見るため、翌10月会合で据え置きに転じた。これで据え置きは9会合連続となる。

 中銀は声明文で、金利据え置きを決めたことについて、前回5月会合時と同様、「世界景気の後退とコモディティー(国際相場商品)価格の下落が世界のインフレを抑制し続け、ポーランドのインフレ低下に寄与する」、また、「(国内では)信用の伸びが大幅に減少する中、消費を含むGDP(国内総生産)成長率の鈍化がインフレ率の低下につながる」とし、その上で、「中銀によるこれまでの大幅な金融引き締めがインフレ率の物価目標への収束(低下)につながる」とし、過去に実施した累積的な利上げの効果を見守りたい考えを改めて強調した。

 同国のインフレ率は5月が前年比13.0%上昇と、4月の同14.7%上昇や3月の同16.2%上昇を下回り、3カ月連続で伸びが減速した。インフレの見通しについては、中銀は、「経済活動の後退と相まって、今後数四半期、国内CPI(消費者物価指数)で見たインフレ率の低下を後押しする」と楽観的に見ている。中銀の最新の3月経済予測によると、23年のインフレ見通しは10.2-13.5%上昇、24年は3.9-7.5%上昇、25年は2.0-5.0%上昇と予想、インフレ率は25年から物価目標に収束すると予想している。

 ただ、中銀は、「コアインフレ率は依然として高止まりしている」と、懸念を示したが、「入手可能なデータを考慮すると、コアインフレ率は4月にわずかに低下したあと、5月には大幅に低下する」と予想している。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「マクロ経済と金融の安定と、中期的にインフレ率を物価目標に収束させるために必要なすべての措置を講じる」とした上で、「今後の政策決定は、今後のインフレと経済活動の見通しに依存する」とし、インフレの高止まりが長期化する場合、利上げ再開の可能性に含みを残した。

 ただ、市場では、インフレ率が3カ月連続で低下していることや、中銀が前回会合時と同様、「世界的に経済成長が鈍化する中、ポーランドでも経済活動が鈍化している」とし、依然、景気後退懸念を強めているため、今後6カ月以内、早ければ10月の総選挙前にも利上げサイクルが終了、0.5ポイントの利下げに転換すると見ている。ダム・グラピンスキー総裁も3月、インフレ率は9月には1ケタ台の伸びに鈍化したあと、10-12月期に利下げに転換できることを望んでいる、と述べている。

 また、中銀は通貨ズロチ相場について、前回会合時と同様、「ズロチ相場の上昇により、インフレ率の低下はさらに加速する。理事会の評価では、これ(ズロチ高)はポーランド経済のファンダメンタルズと一致する」とした上で、「ズロチ相場が金融政策の方向性と矛盾する場合、為替相場の変動(ズロチ安)を抑制するため、外為市場で(ズロチ買いの)介入を実施する」としている。

 次回の会合は7月6日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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