【為替本日の注目点】新規失業保険申請件数を受けドル円138円台に

為替

サーチナ

2023/6/9 10:05

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 昨日の朝方には140円に載せる場面もあったドル円はその後軟調な展開となり、NYでは大きく下落。新規失業保険申請件数が大幅に増加していたことでドル売りが強まり、138円82銭まで売られる。ユーロドルは反発。1.07台を回復し、1.0787まで上昇。株式市場は新規失業保険申請件数を受け3指数が揃って上昇。S&P500は26ポイント上昇し、昨年10月の安値から20%戻し、強気相場入りしたとの声も。債券も反発。長期金利は3.71%台に低下。金は大きく反発。原油は売られる。

マーケット情報

新規失業保険申請件数 → 26.1万件

ドル/円 138.82 ~ 139.75

ユーロ/ドル 1.0734 ~ 1.0787

ユーロ/円 149.60 ~ 150.04

NYダウ +168.59 → 33,833.61ドル

GOLD +20.20 → 1,978.60ドル

WTI -1.24 → 71.29ドル

米10年国債 -0.077 → 3.718%

本日の注目イベント

中 中国5月消費者物価指数

中 中国5月生産者物価指数

加 カナダ5月就業者数

加 カナダ5月失業率

 やはり米国にとって「悪材料は、好材料」の流れは続いているようです。昨日発表された「新規失業保険申請件数」は、市場予想の「23.5万件」に対して「26.1万件」と、先週から2万8000件も増えていました。前の週からの増加幅としては、2021年7月以来の大きさでした。

 ただ、これで好調な労働市場にも変化が出て来た「兆候」と判断するのは早計です。申請件数のデータは特に祝日前後には変動が大きくなり易いとされています。今回の対象となった先週は、29日(月)が「メモリアルデー」で祝日でした。そのため、より変動の少ない申請件数として知られる「4週移動平均」で判断する方が、実態を反映しているとされています。「4週移動平均」を見ると、今年2月からは明らかに増加傾向が続き、3月第4週には「24万2000件」とピークを付け、その後低下傾向を見せてはいましたが、今回の移動平均では「23万7250件」と再び上昇に転じています。今後同移動平均が上記3月のピークを抜くようだと、新たな「兆候」と判断出来るかもしれませんが、まだ時間が必要です。今回の統計は、増加している米企業のレイオフ発表が実際の雇用削減につながり始めた可能性を示唆しているとも受け取れますが、「メモリアルデーの祝日のため通常より営業日が短かったことを反映している。今回の急増は何らかのシグナルというより、ノイズであったとの疑念を抱かせるはずだ。来週発表されるデータを見てから結論を導き出したいと強く思っている」といったエコノミストの意見をブルームバーグは紹介しています。

 それにしても同指標は、通常それほど注目されている指標ではなく、発表後にこれほど市場が反応したことにやや驚きがあります。裏を返せばFOMCを前に、市場はそれほどセンシティブになっているということなのでしょう。ドル円は昨日の朝方には140円台に載せる場面もありましたが、138円台後半までドル売りが進みました。ここ2週間はほぼ139円前後から140円台でのレンジが続いています。失業保険の申請件数増加は、離職者が増えていることにつながり、来週のFOMCでの利上げ見送りを正当化することになり、ドル売りを加速させました。その他にも株価と債券価格も上昇し、ドルが売られたことで金までも買われています。来週13日発表の「5月の消費者物価指数」では、これ以上の影響がマーケットにもたらされそうです。

 ユーロ圏の1-3月期GDP改定値が前期比「マイナス0.1%」と、速報値から下方修正されました。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー急騰が響いたようです。これで2四半期連続のマイナス成長となり、教科書的に言えば「リセッション入り」したことになります。米国に先行してリセッション入りしたことになり、新型コロナウイルスのパンデミック以降で初めてのリセッションが確認されたことになります。今四半期はプラス成長を回復したとみられるため、域内各国政府は財政支援の縮小を続ける見込みで、ECBも引き締め策を変更することはないと予想されています。

 本日のドル円は138円~139円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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