海外株式見通し=米国、香港
【米国株】高まる中国リスク、外部環境変化に強い銘柄は?

中国リスクが高まっている。中国では政府や地方政府、国有企業にまでiPhone(アイフォーン)など海外メーカーの電子機器の使用制限が拡大。こうした米中対立の先鋭化を受けて、時価総額米国株首位のアップル株価が足元で軟調な展開だ。
年初から7月末まで一本調子で上昇していた反動もあるが、この局面では、いわゆる「ナマズ効果」を理解する必要がある。
同効果は、異質なものが外から入ってくると全体の活力が高まる現象を指す。中国政府がかつてEV(電気自動車)市場でナマズ効果を期待し、テスラの単独参入を認めた。その結果、現在では比亜迪(BYD)をはじめ国内企業が着実に台頭している。
スマホ市場も同様だ。アップルが中国で供給網を広げたことで、アイフォーン向けの技術が中国メーカーにも浸透。ファーウェイやシャオミ、OPPOなどの急成長につながった。
EVもスマホも国内同業が育ったことで、これから外国企業が不利な扱いを受けるケースが一段と増える可能性もある。
S&P500採用銘柄のうち、各業種を代表する優良株100銘柄で構成される「S&P100指数」を見ると、同指数の年初来騰落率上位3銘柄のエヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラは昨年の騰落率がマイナス51~マイナス65%といずれも下位5位以内だった。
金融引締めやインフレ率減速といった外部環境に大きく影響された結果という面もある。外部環境に左右されにくい銘柄への投資では、業種自体のディフェンシブ性よりも、金融引締めとインフレ減速といった相反する状況下で安定した株価推移の実績がある銘柄を選びたい。
S&P100指数構成銘柄の中で、日足終値の昨年の年間騰落率と今年の年初来騰落率(9月8日まで)がともにプラスで、同年初来騰落率が昨年の年間騰落率を大きく下回らない銘柄としては、イーライリリー、キャタピラー、IBM、モンテリーズ・インターナショナル、エマソン・エレクトリックなどが挙げられる。ディフェンシブ性を直近の相場環境で実践した銘柄として注目される。
【香港株】スマホ市場「自給化」と先端半導体
上述のナマズ効果により成長を果たした中国のスマホメーカー。段永平氏が創業者した歩歩高電子(BBK)のVIVOとOPPOが競い合い、両ブランド合計で2022年の中国販売台数はアイフォーンの2倍近くに上るとみられる。
ほかにもファーウェイから深セン市政府管理国有企業に売却されたHONOR、シャオミなども販売台数でアイフォーンに引けを取らない。技術的にも、世界最薄の折りたたみや急速充電、高画質などを競い合う。
ファーウェイは8月に、新型スマホ「Mate 60 Pro」の販売を開始した。衛星通話が可能な世界初の消費者向けスマホで、通信速度も5G対応機種に匹敵することが話題を呼んだ。1台当たり7000元近くと高額ながら、爆発的な売れ行きのもようだ。(画像クリックでグラフ拡大)
注目されるのは、同機種を動かす半導体として、半導体受託製造(ファンウドリー)の中芯国際集成電路製造(SMIC)が中国で生産した回路線幅7nm(ナノメートル<ナノは10億分の1>)の先端製品が採用されている点だ。米国主導の国際的な制裁にもかかわらず、中国が国内半導体エコシステムの構築に向けて着実に前進していることがうかがえる。
シャオミの23年4~6月決算は、純利益が前年同期比2.6倍の約36.7億元に急拡大した。減収だったものの、スマホ事業粗利益率が同4.6ポイント改善している。一方、SMICの4~6月決算は、売上高が同18%減の15.60億ドル、純利益が同22%減の4.02億ドルにとどまった。新型コロナ禍特需の反動減を受ける中、「ファーウェイ効果」で今後の業績反転が期待される。
(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
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