海外株式見通し=米国、香港

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2024/7/11 10:30

【米国株】トランプ・トレード巻き戻し、ディフェンシブへシフト

 7月第1週に発表された6月分の経済指標は、米経済の減速を浮き彫りにした。ISM(米供給管理協会)景況指数は、製造業(総合)が48.3と景況判断の50を3カ月連続で割り込み、非製造業(総合)も48.8と5月の53.8から大幅に低下した。2020年5月以降、非製造業(総合)が50を下回ったのは22年12月(49.0)、24年4月(49.4)の2回しかなかった。

 8日発表の6月雇用統計も失業率が上昇し、非農業部門雇用者増加数は4、5月分がともに大幅に下方修正された。トランプ氏の大統領返り咲きを織り込んだ「トランプ・トレード」(インフレ進行・景気敏感・バリュー銘柄シフト)は巻き戻しを余儀なくされそうだ。

 他方、景気減速による長期金利低下は、アップル(AAPL)やマイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)など大型ハイテク株を中心とした時価総額上位銘柄への資金流入を促しやすい。それがS&P500指数やナスダック総合指数など、時価総額加重平均型の指数を押し上げ、米国株の底堅さを印象付けている。「強いものがさらに強くなる」という、特定少数銘柄の占有率拡大の限界を見極めようとしているのが、足元の相場動向といえそうだ。

 相場の主役を張っていたエヌビディア(NVDA)に対しては、一足早く投資判断を「買い」から「中立」に引き下げるアナリストが出始めた。エヌビディアに関しては、株式分割権利落ち日近辺の120ドルを中心とした上下20ドル近辺のレンジ相場が当面の基本線となるのではないだろうか。このような投資環境の中では、米国経済の減速を基本としてディフェンシブ銘柄を重視すべきタイミングだろう。バイオテクノロジーや医療機器関連の4~6月決算は要注目だ。

【香港株】デフレ下で業績伸ばすラーメンと火鍋チェーン

 中国の社会消費品小売総額(小売売上高・総額)は、5月が前年同月比3.7%増と4月の2.3%増からプラス幅が拡大した。全体の1割を占める飲食店収入も5月が同5.0%増と、4月の4.4%から伸びが加速した。とはいえ、1~5月の小売売上高・総額は前年同期比で4.1%増と、23年通年の成長率(7.2%)に対し落ち込んでいる。消費者物価上昇率も低調で、デフレ圧力の強さがうかがえる。

 外食チェーンの繁盛店は、格安メニュー業態ばかりだ。日本企業も、サイゼリヤ(7581)が中国でも安さを人気に知名度を上げ、讃岐うどんの「丸亀製麺」を運営するトリドールホールディングス(3397)もとんこつラーメン「ラー麺ずんどう屋」の価格帯を日本よりも低く設定している。

 そうした中、日本でも熊本ラーメンの「味千ラーメン」でおなじみの味千(アジセン・チャイナ・ホールディングス、538香港)が注目される。熊本ラーメンと言えば、焦がしたり揚げたりしたニンニクのチップやマー油(ニンニクを揚げた油)と豚骨スープの組み合わせや、キクラゲを使った具材に特徴がある。同社は、味千ラーメンにおける中国本土と香港などでの経営権を熊本の重光産業から取得し、チェーン展開している。23年末の店舗数は前年末比35店減の562店舗で、23年12月期は、売上高が前期比27%増、当期損益が前期の赤字から1.81億元の黒字に転換した。株価も昨年11月に反転上昇している。

 海底撈国際(ハイディラオ・インターナショナル、6862香港)は、「海底撈」ブランドの火鍋料理レストランを展開。23年末店舗数が前年末比3店増の1374店舗で、23年12月期は、売上高が前期比13%増の414億元、当期利益が同2.7倍の44.9億元と堅調だ。同社の海外事業は特海国際(スーパーハイ・インターナショナル、9658香港)として22年12月末に香港に分離上場後、今年5月に米ナスダックに上場するなど、火鍋文化の世界展開と歩調を合わせている。

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(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)

(写真:123RF)

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