英中銀、賛成多数で0.50ポイント利上げ―利上げは7会合連続

経済

2022/9/26 8:32

<チェック・ポイント>

●3委員が0.75ポイントの利上げを、1人は0.25ポイントの利上げを主張

●エネルギー価格保証プログラムは中期的に需要圧力を高めると懸念

●7-9月期GDP見通し下方修正、英経済はリセッション入りと

 BOE(イングランド銀行、英中銀)は22日、金融政策委員会(MPC)で政策金利を0.50ポイント引き上げ、2.25%とすると決定した。利上げは7会合連続、0.50ポイントの大幅利上げは2会合連続。2.25%の金利水準は08年以来14年ぶりの高水準となる。

 9人の委員のうち、ベイリーBOE総裁ら5委員が0.50ポイントの利上げを支持。3委員は0.75ポイントを、1委員は0.25ポイントの小幅利上げを主張した。市場の大方の予想は0.75ポイントの利上げだった。

 議事抄録によると、0.75ポイントの引き上げを主張した3委員は、トラス政権がエネルギー価格高騰に対応するために導入したエネルギー価格保証プログラムが中期的に需要圧力を高めるとして、「金融引き締めペースを速めることが物価目標へのインフレ収束に役立つ」と主張。一方、0.25ポイントを支持した1委員は、「経済活動がすでに弱っており、インフレ上ブレリスクは低下している」として、過度な利上げの必要性はないと主張した。

 エネルギー価格保証プログラムは電気とガスの料金の上限を24年までの2年間、現行の年間2500ポンドで凍結することを狙っているが、BOEは声明文で、「エネルギー価格保証プログラムは短期的にインフレ率を低下させるが、経済予測期間の最初の2年間で、家計支出が8月金融政策報告書で予測されたほど弱まらない可能性が高い」とし、インフレ抑制の観点で警戒感を示した。

 一方、景気見通しについては、7-9月期GDP(国内総生産)伸び率を前期比0.1%減と予想。8月に示していた従来予想の0.4%増から下方修正。4-6月期の0.1%減から2期連続のマイナス成長となり、英国経済はリセッション(景気失速)に入りしたとみている。

 政府は生活費危機への対応と景気支援のための減税を柱とした補正予算を23日に発表したが、BOEはこの支援策の景気とインフレへの影響について、次回11月会合で検討するとしている。

 今回の会合では、これまで10年間にわたって買い入れた保有国債(現在8380億ポンド)の直接売却を10月3日から開始することも明らかにした。販売規模については、最初の1年間で800億ポンドとし、1年後の保有国債の残高を7580億ドルまで削減す。今後1年間の満期償還分を考慮すると、四半期当たり約100億ポンドの直接販売となり、販売額は市場の予想通りだった。

 今後の金融政策の見通しについては、前回会合時と同様、「中期的にインフレを持続的に2%上昇の物価目標に戻すため、必要な措置を講じる」とし、利上げサイクルの継続を示唆した。市場では次回会合でも0.50ポイント、12月15日の会合では0.75ポイントの利上げが実施され、年末までに政策金利が3.75%、23年夏までに約5%になると予想している。

 BOEの次回会合は11月3日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社

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