JPMC、今期業績計画上ブレ含み――景況感悪化が商機に
2022/9/28 8:50
プロパティマネジメント(賃貸経営代行業)を主力とするJPMC(3276)は、ストックビジネスを中心に収益を伸ばし、今12月期上期は売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。リフォーム事業や、M&A(企業の合併・買収)で獲得したJPMCシンエイの成長性も注目される。
賃貸住宅の経営代行、M&A効果顕在化
同社はオーナーに代わってアパート・マンションの賃貸経営を代行するほか、それに付随する保険や入居者の滞納保証事業など賃貸経営に特化し事業を展開。建築やリフォーム、不動産関連の業務は、グループ会社や同社に加盟するパートナーに委託している点が特徴だ。
日本の賃貸住宅は、建築から仲介・管理、一括借り上げまでを大手メーカーが垂直統合で担うモデルが主流で、壊しては造る「スクラップ・アンド・ビルド」を繰り返してきた。しかし、人口減少やライフスタイルの多様化、環境意識の高まりといった現代の課題に照らすと、こうした「建てる論理」は限界に直面している。
こうした中、JPMCは既存物件のリユースに力を入れている。パートナーとの分業体制を構築し、持続可能な賃貸経営で社会の課題と向き合う「住む論理」を追求。既存物件をリユースすることで、スクラップ・アンド・ビルドを行わずにオーナーの資産価値向上を目指す。長期の借り上げ期間を設け、約定賃料を上回る収益はオーナーと分け合う収益分配型のサブリースシステムが支持を集めている。
今期上期の連結業績は、売上高が283億円(前年同期比11%増)、営業利益が14.5億円(同34%増)に拡大した。期初計画を営業利益で3億円超上回る水準。買収した東京・多摩エリアが地盤のJPMCシンエイも、管理物件の入居率向上が進んだ。また、リフォーム事業の売上が大きく伸びた。
営業状況は好転、運用戸数伸び回復へ
通期の営業利益予想(23.2億円、収益認識に関する会計基準の適用により前期比較なし)に対する進ちょく率は6割を超え、計画強含みで推移する同社の業績。一方で、6月末の運用戸数は10万6400戸と昨年末比で240戸減少した。同社の業況に関する重要指標なだけに、マーケットではこれを不安視する向きもある。
ただ、同社の武藤英明社長は「足元の営業状況は非常に良い」と話す。今年前半の運用戸数の伸び悩みは、新型コロナウイルス第7波が襲い、オーナーへの訪問営業を思うように重ねられなかったことも影響したとみられる。ただ、感染者数はピークアウトしており、同社の営業環境も正常化しつつあるようだ。
足元では国内でも物価がじわりと上昇し、世界経済の先行き不透明感も強まっている。賃貸住宅のオーナーにとって景気悪化は不安感につながりやすく、こうした局面ではサブリースや滞納保証のサービスはニーズが膨らみやすく、JPMCには商機が広がる可能性がある。
(写真:123RF)
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