RBA、6会合連続で政策金利を引き上げ―利上げ幅0.25ポイントは市場予想下回る

経済

2022/10/4 15:09

<チェックポイント>

●ロウ総裁、「キャッシュレートは短期間で大幅に上昇した」

●今後も利上げ継続の考え示す

●市場、今後の豪経済の減速を警戒

 豪準備銀行(RBA)は4日の理事会で、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、2.60%とすることを決めた。市場では0.50ポイントの利上げが見込まれていたため、3年国債利回りが低下し、豪ドルも急落した。

 市中銀行のRBAへの預入残高である為替決済(ES)バランス(銀行間決済口座)に適用される公定レートも同率引き上げ、2.50%とした。

 RBAは5月会合で11年半ぶりに政策金利を0.25ポイント引き上げたあと、6月会合から前回9月会合まで4会合連続で0.50ポイントの大幅利上げを実施しており、今回で利上げは6会合連続となる。

 RBAのロウ総裁は、短期間でキャッシュレートが大幅に上昇したため、0.25ポイントの利上げにとどめたとした。一方、今後の金融政策決定について、さらなる利上げが必要になる可能性があるとの考えを示している。市場では、オーストラリアの住宅ローンの約6割が変動金利のため、小幅利上げでも強く反映されやすいことが今回の小幅利上げの背景と見ている。

 利上げ継続の背景となっているインフレの見通しについては、国内需要が強いことから今後数カ月にわたってさらに上昇すると指摘。前回会合同様、インフレ率は、年末までに7.75%上昇でピークになると予想した。中期的には23年末に4%超上昇、24年末に約3%上昇に減速すると見ている。

 今回の利上げで政策金利が2.6%に達したため、ロウ総裁が指摘している2.5%の中立金利を超え、利上げ余地はほとんどなくなった。市場では、RBAは23年半ばまでに政策金利を3.60%まで引き上げ、頭打ちになると予想している。

 国内経済については、求人数と求人広告はいずれも高水準にあり、短期的に利上げ継続による景気への影響はみられないとしたが、「今後は経済成長が鈍化するにつれて、失業率が上昇することが予想されるとし、中期的には懸念を示した。

 豪州は先進国中でも所得に対する住宅資産価値の比重が高いため、住宅価格の低下は個人消費に直結するが、最近の利上げ継続により、住宅需要が低下している。しかし、ロウ総裁は前回会合時と同様、「インフレ上昇と金利上昇が家計を圧迫しているが、金利上昇の悪影響が住宅ローンの支払いに完全に反映されるまでには至っていない」とした

 ただ、市場では、利上げが家計に波及するのに約3カ月かかるとされ、消費者は今後、支出パターンを調整する必要があるなかでさらなる金融引き締めを考えると、経済は大幅に減速する可能性があるとみている。

 次回会合は11月1日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社

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