HCSHDの加藤社長に聞く――セールスフォース、ローコード開発など新領域に注力

無料

2022/10/5 9:00

 HCSホールディングス(4200)はシステム開発を主軸に、ERP(独SAP社の統合基幹業務システム)やCRM(米セールスフォース社の顧客管理システム)の導入支援を手掛ける。近年はDM(デジタルマーケティング)を強化しているほか、工場でのDX(デジタルトランスフォーメーション)サービスなどの新規事業にも意欲的だ。足元の業績動向と新たな取り組みについて、加藤俊彦社長に聞いた。

 ――システム開発やERPなどの主力事業が堅調だ。

 「情報サービス事業では、システム開発は大手の顧客を中心に安定した収益が期待される。クラウド型のセールスフォースの導入や、ソースコードを自動生成し、アプリケーションを高速開発できる『ローコード開発』の導入支援にも領域を広げている」

 「ERPに関しては、SAPの日本法人のパートナーとして、大手コンサルティングファームなどと組み事業展開している。受注は安定しており、利益率も高い。SAPの既存システムのサポートが終了する2027年に向け、更新需要も見込まれる」

 ――DMのほか、情報サービスでもセールフォースなどの新たな取り組みが目立つ。

 「DMには、2016年にマーケティングサービスを手掛けるビジー・ビーを買収して本格的に乗り出した。大手メーカーなどの上流工程に食い込んでいるため、採算が良い。高い技術が求められるため投資も必要だが、その分成長期待は大きい」

 「一方、セールスフォースの導入支援は10年ほど前から進めてきたが、今3月期は技術者の再教育のための予算を厚くしている。課題であるエンジニアの稼働率の向上に結び付けたい」

 ――ローコード開発はどうか。

 「それにも積極的に取り組んでいる。既に大手企業ではIT部門に依存せず、事業部を主体にローコードを使った業務のデジタル化へと舵(かじ)を切ったところも出てきている。いずれ多くの企業が追随し、システムの基幹部分もローコードで開発するようになる可能性がある。将来的には、専門性の高いコンサルとローコード開発の支援の両方をこなせないことには、システム業界では生き残れなくなるだろう」

 ――情報の発信を通じて顧客を呼び込む「インバウンドマーケティング」を得意とするリードプラス社(東京都世田谷区)にも出資した。また、製造業のDXをめぐっても商機を狙っているようだ。

 「リードプラスはDMに関する優れたノウハウを持つだけではなく、独自に開発した広告運用プラットフォームを擁する。ビジー・ビーとのシナジー(相乗効果)が期待される」

 「『点検エース』はタブレットを使い、データの入力や報告書作成などをペーパーレス化することで、工場での業務負担を軽減する。『点検エース』とセールスフォースを連携させたデータ管理システムも開発中だ。また、ビジー・ビーとクラウドパートナーの契約を結んだリルズ社(沖縄県宜野湾市)と連携し、これまで目視が必要だったメーターなどの点検をカメラによって遠隔化するサービスを来年早々にも披露したい」

(写真:123RF)

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ